ある日、未来のトリプルフェイスを拾った。【名探偵コナン】

＊ ページ37

再び眠り、今度は九時くらいに起きた。すごいあたし、こんな眠れたことって一生ひっくるめてもないかも。なんなんだ、零くんがいるからなのか？

零くんはお風呂から上がったばかりのようで、ほんのり頬が上気している。再びおはようと言われて、夜だけどねと返した。



「体調はどうだ？」

「すごいよ、いっぱい眠ったおかげですっかり元気。熱もないと思う！」

「計ってから言って」



零くんが体温計を投げた。反射でキャッチするけれど、零くん体温計投げるのは危ないよ……。

体温計を脇に挟んでしばらくし、音が鳴ったので見てみれば、三十六度五分の文字。完璧に下がっている。ドヤ顔で零くんに体温計を返すと、よかったなと棒読みで言われた。



「もう完璧に治ったよ」

「いや、まだだ。ぶり返すかもしれないから、念のため明日も休んで」

「えー！」

「もう師匠には言ってあるよ。Aが反論すると思ったからな」



できる子だ。ぶうぶう文句を言うと、零くんが「はいはい」と言いながら頭を撫でてくれる。もしかしてこれ、いつもと逆の立場？

でも、零くんに頭を撫でられるのはレアだから、しっかり堪能しておこうと思う。



「ごめんね」

「何が？」

「いろいろ。あたしのがお姉さんなのに迷惑かけて」

「いつもは僕が迷惑かけてるから。住ませてもらってる恩返しもしなきゃと思ってたし、本当に気にしないでくれ」



今回は素直になって、零くんの言葉に甘えることにした。

もう元気になったのでベッドから出てシャワーを浴びに行く。お風呂に入るのは止められた。明日にしろって。素直に従って、シャワーを浴びてすぐに出た。

リビングに行って麦茶を飲む。本当はお腹が空いていたから何か食べたかったのだけど、明日の朝は零くんへのお礼も兼ねて、めっちゃ豪華な朝食にしてやると心の中で決意して我慢した。

寝室に戻るとベッドの上に零くんが座っていたので、隣に腰かけて彼の頭を撫でる。彼はされるがままだ。



「今日は一緒に寝られなくて寂しいねー」

「え？ 寝ないのか？」

「だってうつったら困る」

「もう治ったんだろ。それに僕は鍛えてるから風邪はひかないんだ」



零くんが胸を張る。自信たっぷりで大変よろしい、がうつらないとは証明できない。

しかし結局あたしは零くんに言いくるめられ、いつもと同じく二人で一緒に眠るのだった。

ギターと幼馴染み→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す