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師匠夫婦は零くんにものすごく甘い。扱いが初孫のそれ。零くんが料亭に行くと構い倒し、プレゼントをあげたり、料理を教えてやったりしている。
だからあたしが零くんを理由に休みをもぎ取るのは簡単なことだった。
「零くんテニス部って言ってたよね。運動公園でも行く？」
「ラケットも何も持ってないじゃないか。それに……A、テニスできるのか？」
「できないけど、零くん見てるだけで楽しいよ」
「僕はAと一緒じゃないとやらない」
ばっさり切られる。テニスしてる零くんを見てるだけで楽しいのは確実なんだけどな。
零くんはこちらから甘やかすと甘えてくれるけど、自分から甘えてくることはほとんどない。自分のしたいことやほしいものがあっても口に出してくれない。遠慮してるんだと思う。仲良くなったとはいえまだ二週間しか一緒にいないし。
金銭面に関しては本当に気にしないでほしい。やってることは推しに貢ぐことと同じだ。悪い男に引っかかって貢がされるより断然いい。
「えー、遊園地に水族館に映画館に動物園……いろいろあるけど」
「遊園地は疲れる。映画館は……せっかく二人で遊びに行くのに、二時間近くずっと画面を見るだけなんて嫌だ」
「な、なるほど……参考になります兄貴！」
「兄貴じゃない。あとあんまりお金がかからないところがいい」
「遠慮はしなくていいんだよ？」
「いや、遠慮じゃないんだ。お金をかけなくても楽しめるって良いことだろ？」
なんとなく言ってることわかった。「お金をかけたから楽しめた」にしたくないんだ。お金をかけなくても、楽しかったなって思えたらいいわけだ。さすが零くんそんなこと考えてたなんて……。
…………え、違うの？
ま、まあとにかく、零くんの気持ちはわかった。あたしもお金をいっぱいかけて零くんに心苦しい思いをさせるのは本意じゃない。
「水族館か動物園かそれ以外だね。あ、お弁当つくって持っていこう！」
「僕も一緒につくりたい！」
「零くんとお料理？ えー心配だなー、火傷しない？」
「僕も師匠にいろいろ教わったからある程度はできる」
零くんが「まかせてくれ」と得意げに言った。頼もしいことこの上ない。将来はスパダリになること間違いなしだ。
零くんと額を寄せ合って案を出していくうちに、明々後日のデートがますます楽しみになっていった。
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えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……！ 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました！ (2020年5月25日 16時) (
レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね！ 更新頑張ります。コメントありがとうございました！ (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです！さっき更新された話もまじ良かったです！ 更新待ってますっ！！ (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです！ 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか？ コメントありがとうございました！ (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ苺 | 作成日時：2020年5月21日 19時
