* ページ20
もともと師匠には零くんを連れてこいって言われていた。まさか言った次の日に連れてくるとは思わないだろうけど、きっと笑顔で歓迎してくれる。そういう人たちだ。
本当はかわいいかわいい零くんを独り占めしたかったけれど、ここに一人で残していくのも心配だし、…………あーでも会わせたくねぇ〜〜〜〜。
零くんは戸惑いながらも「Aの職場を見てみたい」と言い、そうと決まれば即行動。零くんに急いで出かける準備をさせて、その間にあたしも着替えをもって戸締りして回った。
零くんはあたしが買ってやった服をオシャレに着こなしている。コートとブーツを合わせたらただのファッションモデルだ。中二には見えない。街中にいたらナンパされること間違いなし。
「勉強道具持った?」
「持った! 戸締りは?」
「あとは玄関! 笑顔は?」
「完璧!」
あたしがふざけて確認事項に笑顔を付け足すと、零くんは流れるようにノリにノった。超イケメンなスマイルと、警察を目指してるだけあって無駄にきれいな敬礼を合わせたら、もう直視はできない。あたしは数分悶えることになった。完全なる自業自得だが。
玄関に鍵をかけて車に乗り込み、師匠夫婦が経営する立派な料亭まで走らせる。零くんはあまりに立派な日本家屋にあんぐり口を開けていた。
「おはようございまーす!」
「お、おはようございます……」
機嫌よく引き戸を開けるあたしと、萎縮してしまってあたしの背後にぴったりつく零くん。いつも通り奥へ奥へと這入っていくと、師匠はすでに板場に立っていた。
小気味よいリズムを刻みながら包丁を動かしていた師匠は、「おうおはよう」と顔を上げて、たっぷり二秒かけて現状を把握する。そして口を開き、
「っっあーーーーーーーー!!!!」
叫んだ。
零くんがびくりと肩をはねさせる。驚く姿すらかわいいな。もうかわいい。かわいいは正義、零くん万歳。つまりきみがルールだ。
あたしは師匠の奇行に慣れているので、のんびり調理服に着替える。零くんは師匠が怖いようで、びくびくしながらあたしに着いて回った。
「ちょっとちょっとマジで誘拐じゃん??! やめなよ今ならまだ間に合うって!!! 一緒に警察行ってあげるからさ?!!!」
「だから誘拐じゃないって言ってんでしょーがァ!!!」
朝から大声出すのもいつものことである。
572人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
あの日、未来のトリプルフェイスは拾われた。【名探偵コナン】
2.原作の知識を与えられたからには全力で関わりを拒否します。【ヒロアカ】
もっと見る
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……! 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね! 更新頑張ります。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです!さっき更新された話もまじ良かったです! 更新待ってますっ!! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです! 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか? コメントありがとうございました! (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月21日 19時