ショッピング ページ7
家に帰って支度し直し、少年を助手席に乗せて車を出した。行先は車で十分のショッピングモールだ。大概のものはここで手に入るので、面倒くさがりなところがあるあたしはよく利用している。
少年は物珍しそうにきょろきょろしてみたり、道行く人から隠れようとしたり、あたしのコートの裾を握ったりと忙しなく動き回っていた。将来トリプルフェイスになる彼も、十五年前はこんな子だったんだなあ……。
まず一番に服を見繕った。トップスとボトムスを五着ずつ。滞在期間がいつまでか読めないが、延びたらその都度買いに行くつもりである。
少年はあたしが見繕った服に不満なようだった。あたしは服のセンスが抜群だと自負しているのでたぶん金銭面からかな? あたしにとっては大した額じゃないけど、中学生には高価なものなのだろう。まあ一応ブランドものではあるしな。
「何むくれてんの?」
「僕の意見は無視なんだなーって思って」
「なんか欲しい服あったの? いいよ買ったげる、持っといで」
「そういうわけでは……!」
焦る少年。やっぱり金銭面に関しての不満だった。
未だぶうぶう文句を言っている少年を引きずって、続けて寝間着を二着とコートを一着、手袋もつけてあげた。あたしのを貸しても良いのだが、思春期の男の子に女物はかわいそうだし。
下着や靴下もテキトーに買って、靴とブーツも一足ずつ買っていけば、やがて少年は何も言わなくなった。
「衣類はこれで良いのかな……。なんか他に必要なものある? マフラーとかいる?」
「いりません。こんなに買って……僕が帰ったらどうするんですか?」
「大事にとっておいて、いつか息子に着せようかな」
「それはなんか嫌です」
少年が「やめてください」と顔をしかめる。彼はいつもぶすっとした顔をしている。笑った顔は見てない。見てみたいものだけど、見た暁には吐血してしまいそうだから今は遠慮しておこう。
それから、彼を連れて歯ブラシや彼用タオルなどなど買い漁った。言い方が悪かった。ごめん。
彼はされるがままだった。
「ふう、ちょっと疲れたねえ」
「あなたが動き回るからでしょう。僕はいらないってずっと言ってるのに」
「いや衣類は必要だよ。もしあたしがきみを追い出したら、すぐに他の家に転がり込めるとは限らない。あ、布団買う?」
「僕の話聞いてませんね???」
572人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
あの日、未来のトリプルフェイスは拾われた。【名探偵コナン】
2.原作の知識を与えられたからには全力で関わりを拒否します。【ヒロアカ】
もっと見る
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……! 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね! 更新頑張ります。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです!さっき更新された話もまじ良かったです! 更新待ってますっ!! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです! 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか? コメントありがとうございました! (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月21日 19時