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ようやく合流した友達の背に隠れながら酒を呷る。イライラしているせいでいつもよりペースが早い。そろそろ抑えなくちゃ……。
とりあえず『感動の再会地獄』は終わった。他の人たちは卒業後も何度か会っているようなのでお互いに再会があっさりしているのだが、あたしは丸十年会わなかったものだから過剰に反応されるのである。
「ちょっとA、ペース早すぎ。大丈夫なの?」
「これくらいならまだ余裕。あー、けど、お水取って」
「はいはい。修行のほうはどうなの? お父さんに弟子入りしたんだっけ?」
「やめた。今は別の人を師事してる」
あたしは六才から父に料理を習い、中学卒業と同時に正式に弟子入りしたのだが、父一色に染まってしまうのはどうかと思い直して、父のつてを頼って師匠に弟子入りしたのだ。父には泣いて止められた。だが振り切った。決して不仲などではない。
酒から水にシフトチェンジして数分、早くも酔いが覚めてきた。
やっぱり帰ろう。全然楽しくないし、こちとら零くんが家で待っているのだ。帰らないわけがない。ということで、さっさと荷物をまとめる。
が、あたしの前に、当時のカースト上位女子軍団が現れた。
「……あー、何?」
「久しぶりだなって思って! 松七五三さん高校行かなかったし!」
「そうそう、クラス会とかも全然来なかったしさっ」
「今何してるんだっけ? フリーター?」
「ちょっと、中卒で今フリーターはやばすぎ」
甲高い笑い声が響く。なるほど、今あたしはバカにされているらしい。
そういえば中学時代、あたしと彼女らはそりが合わず、しょっちゅう喧嘩していた気がする。喧嘩が得意だったあたしは、大勢に一人で挑み、全員を泣かせていたような。彼女らに言いくるめられた男子たちにも恐れずかかっていって負けなしだった。
とはいえあたしももう大人。思春期・反抗期だった中学時代とは違い、次第に喧嘩をしなくなっていったのだが。
「彼氏いるの? ほらあたしたちももう二十五だし、そろそろね」
「でも松七五三さんすっごい乱暴だったし……」
「それは昔の話でしょ。わたしこの間見たよ、松七五三さんが金髪のかわいい子とデートしてたとこ! あの子、高校生くらいかな? 年下彼氏だね」
「え、それって犯罪じゃん。でも松七五三さんならありえるかー!」
ばしゃん。
「え?」
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えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……! 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね! 更新頑張ります。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです!さっき更新された話もまじ良かったです! 更新待ってますっ!! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです! 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか? コメントありがとうございました! (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月21日 19時