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「勉強ねえ。中学までの範囲は得意だったけど、それ以上は全然できないよ。零くんが中学生の範囲を勉強してるから教えてあげられるだけ」
「Aの頭の良さは別のところにあると思う」
「零くんが言うなら、そうかもね。でも嘘は本当に下手だよ」
「でもポーカーフェイスがすごく上手い」
零くんに今度教えてくれとせがまれるが、全く自覚はない。それに心配しなくてもきみはポーカーフェイスめっちゃ上手になるから。安心してください。残念ながらポーカーフェイスだけで嘘が上手とは言えないが。
「あたしの嘘は詰めが甘いからすぐバレる。例えば……零くんとあたしの従兄弟設定。叔母さんの子だから苗字違うけど、なんで父親がイギリス人なのに降谷なの、ってツッコまれたら困る」
「あ……」
「ポーカーフェイスね……自覚はなかったけど、ガキのころからやらかしまくって平気で嘘吐いてるから、どんな顔をすれば嘘吐いてるってバレないかわかったのかも」
「たとえば?」
「瞬きの数は増やさない。視線は不自然に動かさない。手の動きもできるだけ自然に……みたいなね。本職の人には普通にバレるだろうね」
嘘を吐き慣れるっていうのは良くないことだ。悲しいことだとあたしは思う。
だから彼が将来、安室透やバーボンとして嘘を張り巡らせることに、ちょっとだけ胸が痛む。そんなことをしたら本当の自分を見失うのではないか、と。
この子の運命に悲しくなるけど、あたしは培った技術でそれを隠した。だって、あたしが悲しむようなことじゃない。
「そうだ写真! 撮ろうって言ってたよね、今撮ろう」
「うん。空も晴れたし」
「え、あ、ホントだ」
「気づくの遅っ」
いつの間にか頭上には青空が広がっていた。深い青にどこまでも白い雲の色が鮮やかだ。
「あ、カメラ忘れた……」
「すまほでいい。Aと撮れるならなんでもいいんだ」
うんめっちゃ嬉しいこと言ってくれてるけどスマホのイントネーションが違う……。そっちはまだガラケーなんだね……。ジェネギャ……。
スマホの内カメで撮影し(ちょっとだけフィルターかけた)、午後も動物園を満喫した。最後に写真屋に寄って小さく印刷した写真を零くんに渡すと、彼はうれしそうに首からかけたロケットの中に入れた。いつか君が困ったときは裏を見てね、と伝えると、彼は不思議そうに頷いた。
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えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……! 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね! 更新頑張ります。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです!さっき更新された話もまじ良かったです! 更新待ってますっ!! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです! 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか? コメントありがとうございました! (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月21日 19時