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安室さんに支えてもらいながら、なんとか駅前まで辿り着く。
痛みとイケメンが至近距離にいる緊張で、背中は嫌な汗で湿っている。気持ち悪い。
「あ、あの車です。あの黒い車」
「…！？」
エクソシストが乗る車を指し示すと、なぜか安室さんが息を飲んだ。
「あの、どうかしましたか？」
そう問いかけると、安室さんはハッとした。
「いや、あの車、見覚えがある気がして…。本当にあの車？」
「え、はい。ナンバーも私の知り合いのですし。」
そう、と誤魔化すように微笑む彼は、誰がどう見ても怪しい。
何か、隠してる。それも、とても大きなことを。
車に近づくと、中からエクソシストが出てきた。
「お待ちしていました、」
「待たせてごめんね！！ 涼！」
こいつ、ここが外だとわかっているのだろうか。こんなところでコードネームを使ってみろ。安室さんに変な目でみられること間違いなしだ。
「、ううん、俺も今ついたところだから。えっと、そちらの方は？」
ごまかせたか？と内心ドギマギしながらも安室さんの方を向く。
「えっとね、助けてくれた安室透さん。安室さん、これが私の幼馴染の木村涼」
「おい、『これ』ってなんd」
「よろしくお願いしますね、木村さん」
うん。演技はできてるけどやっぱり安室さんの方が上だな。演者的に。役柄的に。
「えっと、安室さん、本当にありがとうございました。今度改めてお礼がしたいので、連絡先教えてもらってもいいですか？」
「もちろんです。でも、お礼なんて大丈夫ですよ。僕がしたかったことをしただけなので」
そう言ってにこやかに笑う安室さんは誰がどう見ても『完璧』な人間で、一層怪しさが増して行く。いや、これで調べて何もなかったら人間国宝だよ。ほんと。
・
彼女を乗せた車が去って行くのを確認した後、風見に電話をかける。
「どうしました、降谷さん」
「風見、調べて欲しい人間がいる」
「わかりました。名前を伺っても？」
「AAと木村涼。前者はおそらく20歳前後。容姿・性別は指定しない。後者は男で、同じく20歳くらいだ。該当者全員のデータを、俺の携帯かパソコンに送ってくれ」
「あの、AAさんの容姿と性別を指定しない、というのは…」
「…おそらく、変装が得意だ」
「！ …組織絡みですか。無茶しないでくださいね」
「ふっ…わかっているさ」
通話終了のボタンを押し、思わず空を仰いでしまう。
願わくば、組織とは無関係でいてほしい。
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作者名：海鈴 | 作成日時：2018年5月15日 11時
