ふじわらさんち。 (ページ1)

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はじまりページ1

〈結婚して〉

丈にプロポーズされて
変わったことは
わたしの名字と少し広い部屋に引っ越したことくらい。

引っ越した時に買った
ソファーに座って雑誌を読んでると、
ふと目に入る左手の薬指の指輪。

わたしも結婚したんやなあ

なんて緩む頬。

『何笑ってん』

雑誌見ながらニヤニヤすんなや、
と並んで座ってる丈が言う。

「なあ、丈、わたしと結婚出来て嬉しい？」

『なんなんそれ(笑)』

「いいやん、聞きたいねん」

結婚できて十分幸せなのに、
何度でも聞きたなってしまうのはどうしてなんやろう。

『当たり前にめちゃくちゃ嬉しいけど』

なんて、ストレートに言うてくるから心臓に悪い。

『大好きで仕方ないからプロポーズしてんけど？』

「いや、もういい！わかった！」

あまりに素直に伝えてくれるから焦って遮ると
ふっ、って笑ってスマホに再び目を落とす丈。

『自分で言うたくせに、(笑)』

そんなに言うてくれると思わへんかったもん！

「なんか丈が砂糖やねんけど、」

ボソッと呟いた声はちゃんと丈に届いていて、

『幸せにするって言うたからな守るで、まだまだこれから』

え？心臓持つかな
リアコと暮らすって大変やなあ、

「楽しみにしとくわ」

『おん』