No.24 穏やかな声 ページ25
「(仕事はまだいいから……とにかく、今日の寝床を決めないと。)」
ベルモットと別れて小一時間。
当初通り阿笠宅から最も近いコンビニで立ち読みのフリをしつつ、そんなことを考えていたAだったが、
prrrr prrrr
「…ん。」
今日はよく鳴る携帯を手に取り、コンビニの外へと出た。
「はい。」
『Aちゃーん！』
「……どうしたんですか有希子さん？」
やたら声量のある有希子の声にAが訝しげに尋ねると、有希子は勢いのある声のまま畳みかけるように話し出した。
『それがね！実は優作が急に仕事で海外に行かなきゃいけなくてぇ！私もついて行くから、Aちゃんに買った荷物は沖矢君に預けておいたわ！』
「……え、ちょっと有希子さ」
『ほんとごめんねぇ！私達もう空港だから……って、え？貴方も少し話したいの？』
「有希子さん！少し落ち着いて人の話をっ」
『いやいやすまないね、妻がマイペースで。』
「っ……優作さん。」
どことなく焦った雰囲気もある有希子の声にAが少し強めに話すと、帰ってきた返答は有希子の夫であり新一の父、工藤優作の穏やかな声だった。
「お久しぶりです……先程は御挨拶が出来ず、失礼しました。」
『いやいや、大切な話だと聞いていたからね。問題はないよ。君の方こそ、随分と大変な事になったじゃないか。』
「……いえ、自業自得ですので。お心遣い感謝します。」
『はっはっは、君は変わらないね。もう少し柔らかくてもいいんだよ？』
「いえ……これが私ですから。」
『ふむ、そうか……おっと、もう飛行機が出るのでね。元気そうで何よりだよ。申し訳ないが、息子達の事も宜しく頼むね。』
「勿論です。優作さんもお元気で……それと最後に一つ、有希子さんにお伝えいただけますか？」
『ん？なんだい？』
Aは一拍おいて、さらりと言った。
「『スキンシップは程々に』とお伝え下さい。」
『……成る程、だからこんなにオドオドしている訳か。わかったよ、よく言い聞かせておくね。』
「ありがとうございます。……それでは。」
ピッと電話を切り、Aは空を仰いだ。
「(…さて、あの少年達のところにでも戻るかな。)」
晴れ晴れとした空を見つめ、これといって何か思い出す訳でもなく、Aは地に視線を落として歩き出した。
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文月鎖夜(プロフ) - ちょこちょこですが小説進めてます！ (2016年4月24日 14時) (
レス) id: 3c35e627c1 (このIDを非表示/違反報告)
文月鎖夜(プロフ) - 神さん» ありがとうございます(*^▽^*)頑張らせて頂きます！！ (2016年4月10日 21時) (レス) id: 3c35e627c1 (このIDを非表示/違反報告)
神 - 面白いです！！更新頑張ってください！ (2016年4月10日 21時) (レス) id: 36229bb8d8 (このIDを非表示/違反報告)
文月鎖夜(プロフ) - かりんとうさん» ありがとうございます*^^*これからも世良はちょくちょく出そうと思ってるので^^* (2015年11月27日 0時) (レス) id: 8b8cd9f128 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 乙です〜！世良ちゃんはやっぱり可愛いですね(( 主人公も可愛い*^^* (2015年11月26日 23時) (レス) id: 87f8bb60e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：文月鎖夜 | 作成日時：2015年7月8日 16時
