No.1ご指名です。【紫】

＿＿＿＿４５ ページ46

Tatsuya side.





朝、彼女と一緒にお父さんに謝りに行くことを決めた。





辰「A？大丈夫？」




「....緊張してきました、」




辰「頑張れ。これはAにしか出来ないからね。」




「タツヤさん、」




辰「ん？」




「....ギュッて、してください、」




辰「、え、」




「緊張で震えるんです、タツヤさんの体温で落ち着きたいんです、っ」







顔を真っ赤にして服の裾を掴む彼女。





小動物なの？




なんでこんなに可愛い事するの？




だって全部未経験なんでしょ？




天然で、こんなこと出来ちゃうなんて、








なんて恐ろしい子。







辰「ん、おいで。」






そういうと俺の胸に飛び込んでくる彼女。





「タツヤさん。」




彼女が抱きついたまま上目遣いで俺を見つめる。






辰「.....ハァ、待って、ちょっと一回落ち着かせて、」





そう言って天井を仰ぐ。





目を瞑って深呼吸をしてもう一度彼女を見るとあまりの可愛さに昇天しそうだった。





辰「....かぁいい、」




「へ、」




辰「もうダメ。はい、終わり。」





彼女をベリッと引き剥がすと、不満そうに口を尖らせる。





「もうちょっと、」




辰「だぁめ、もうこれ以上は我慢できなくなっちゃう。」






耳元で、襲うよ？と囁けばたちまち顔が紅潮し、すぐに俺から離れる。






辰「続きはちゃんと終わってからね。」




「つ、続き...」





別の意味で心臓がバクバクしてしまうといけないからこれ以上はもうダメ。






というのは建前。





俺がもたないだけ。








しっかり気持ちを入れ替えて彼女の家まで送り届ける。





「いってきます、」




辰「頑張れ。俺ここにいるから。」






最後に彼女の背中に手を触れて送り出す。




頑張れ、A。




.

＿＿＿＿４６→←＿＿＿＿４４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す