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Tatsuya side.
辰「適当に座って。」
「ありがとうございます、」
彼女の為に紅茶を入れて隣に座る。
辰「お父さんに言ったこと、後悔してる?」
「....してないです。分かってくれないなら、もうこのまま連絡もしたくないです、」
辰「そっか。」
泣いて赤くなった目からは考えられないくらい意志の強い目をしている。
俺は過去の話を聞いてもらうことにした。
辰「俺ね、実は片親なんだ。」
「、えっ、そうなんですか、」
辰「そう。物心ついた頃には母さんと二人だった。
母さん、朝から晩まで働き漬けでさ。
小さいながらにいつも大変そうな姿を見て、
『僕が母さんを幸せにするんだ』ってそう思ってたんだよね。」
彼女は驚いた顔のまま一点を見つめている。
辰「そんでね、手っ取り早く稼ぐ為にホストの道を選んだわけ。
高校にも行くつもりもなかったんだけど、母さんが行きなさいって言うから高校までは出させてもらって、この世界に入ったんだ。
もうすぐトップになるぞって時に、母さん体壊して入院しちゃってさ。」
今まで誰にも話して来なかったのに、スラスラと出てきて止まらない。
辰「その時に初めて、父親と連絡を取ったんだ。
でも、もう亡くなってたよ。
遅すぎたんだよね、何もかも。
すげぇ後悔した。
もっと早く連絡取ってればって。」
だからね、と今度は彼女の瞳を捉えて真剣に話す。
辰「今は自分が意地を張ってるだけかもしれないからさ、もう会わないなんて言わないでよ。
Aには、俺と同じ思いをしてほしくない。
会えるうちにいっぱい喧嘩して、いっぱい話して、そんで笑っててほしいんだよ。」
Aは大事に大事に育てられた可愛い娘さんなんだから、と言うとまた涙をポロポロと流しながら、ごめんなさい、と呟いた。
辰「明日、謝りに行こう。不安なら、俺もついていく。
俺の職業を聞いて、もしかしたら余計に話が拗れるかもしれないし、もう会うなって言われるかもしれない。
でも、俺がAの事を想う気持ちは絶対に変わらないから。」
そう言って初めて彼女を抱き締めた。
その言葉に応えるように彼女も抱き締め返してくれた。
どんなことがあっても、俺がこの子を守りたい、その気持ちは絶対に変わらないから。
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cleam(プロフ) - 阿部プリンさん» ありがとうございます◎無事完走致しました...(笑)ふっかと舘さんのホスト、楽しんでいただけたら幸いです!また新作を出したのでお暇でしたら呼んでもらえると嬉しいです!学校お疲れ様です。無理なさらないでくださいね! (2020年6月4日 20時) (レス) id: 71f219ef5c (このIDを非表示/違反報告)
阿部プリン - 完結、おめでとうございます!学校が忙しくて早く見れなかったのですが、とりま成功して良かった!サブの舘さまも流石でした(笑)ホスト似合う系貴族ってことで!他の作品などこれからも頑張ってくださいね! (2020年6月4日 18時) (レス) id: 13782f88cd (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - リーやんさん» ありがとうございます!キュンキュン、ドキドキが届けられて私も嬉しいです◎最後までお読みいただきありがとうございました!◎ (2020年6月4日 12時) (レス) id: 71f219ef5c (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - 杏奈さん» ありがとうございます!私も貢ぐと思います...(笑)翔太くんの結婚相手絶対幸せだと私も思います。不器用だけど愛してくれそう...(TT)新作出来たのでまたお暇な時に読んでみてもらえると嬉しいです! (2020年6月4日 12時) (レス) id: 71f219ef5c (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ふかやのねぎさん» ありがとうございます!この作品は1作完結させる為にめちゃくちゃ詰め込んでしまったのでちょっと長かったですよね...(笑)新作は短めのお話なので是非読んでもらえると嬉しいです◎ (2020年6月4日 12時) (レス) id: 71f219ef5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cleam | 作成日時:2020年5月30日 0時