054 探り合い ページ5
「…そういえば、大和さんがチャンスをくれって言い出すとは思いませんでした」
「なんだよ急に」
「そういうこと言い出しそうなのって三月か一織くんだけど、案外大和さんもIDOLiSH7のこと好きですよね。リーダーっていう責任もしっかり果たそうとしてるし、実はメンバーのこともよく見てる」
「………」
「…みんなに、負い目でもあるの？」
「…別に。それはむしろあんただろ」
「………」
「九条と仲良さげだったこと、あんた自身あれだけの実力持ってながら俺たちのコーチしてること。みんなあんたのこと知りたがってた」
レッスン終わり、偶然居合わせた大和さんは初めて核心をつくような言葉を投げかけた。みんながそれを気にしていることにはもちろん気付いていたが、誰ひとり聞いてこなかったことをいいことにわたしも黙っていた。そのツケが回ってきたみたいだ。
「あんた自身聞かれたくないことがある内は、他人を知れると思うなよ」
「………」
ぐうの音も出ない正論に言葉がつまってしまった。
大和さんの言う通りだ。みんなに負い目があるのはわたしの方。隠して、誤魔化して、嘘をついて、それでも平然に笑って接している。まるで立派な詐欺師だなとも思った。
でもみんなに対する負い目があるからこそ、大和さんにはこんな風になって欲しくない。
「おっ大和さん、花音」
「三月」
「おつかれさん」
「お疲れ様！ああ、超疲れた…。花音のレッスンちょっとスパルタなとこあるよな」
「初めにビシバシ鍛えるって言ってるからね。有言実行。そのおかげでだいぶ実力ついてきたでしょ？」
「ははっ！確かに。だけどまだ100パーじゃないんだよなあ。クソー」
「…やっぱ、おまえに元気があるとうちの空気違うわ」
「ん？なにが？」
「気にしてただろ、本当は」
「………」
驚いた。気付いていたのか、大和さんは。
ーーーIDOLiSH7の中で、三月の人気がみんなと劣っていること。
「別にそんな…。不合格や最下位は慣れてるしな！」
「ミツがいてくれて良かった。みんなそう思ってるよ」
「…っ…。う、うおお、やばい！目から水みたいなものがっ」
「あはは。ばーか」
「あははは！ばかでーす！…っ、あはは…はー…」
「三月？」
「…絶対叶えたい。叶えたいんだ、神様…」
「………」
状況はとてもじゃないが良いなんて言えない。窮地に立たされているのには変わらない。
みんなに隠し事ばかりのわたしだけど。どうか7人の夢が叶うことを願うことだけは許して欲しい。
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる？｣というセリフは変ではないでしょうか？ (2019年5月21日 11時) (
レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年4月12日 2時
