073 いつか ページ24
「意外でした」
「急にどうしたの？」
「あなたが、四葉さんに対してあんな風に怒鳴るなんて」
「…そんなに意外？」
「ええ。花音さんは四葉さんに対して、少し甘いところがありますからね」
「…うーん、そんなこと、ないと思うけどなあ…」
しかし振り返ってみると、わたしが環くんに対して怒ったり、強い口調で指摘したのは今回が初めてだった。距離感近いから忘れがちだが、なんやかんや自分より5つも離れている彼に怒りにくいというのはあったのかもしれない。
「花音さんはどんな時もチームワークを大切にされる方だと改めて気付かされました」
「ああ、そうね…。チームワークって言葉はよく話に出すこと多いもんね、わたし。確かにそこは厳しいのかも」
「何か理由があるんですか？」
「………」
理由がないわけではない。
また隠し事かと自分に嫌々しながらもわたしは目を伏せた。
「そこは秘密」
「…話してくれないだろうとは思っていましたが、本当に秘密が多い人ですね」
「ごめんね。…ただ、MEZZO"の仲を取り持とうとしている理由はもうひとつあるよ」
「もうひとつ？」
「一織くん、未だにミューフェスのこと引きずっているでしょ？」
「………。それは…」
無事にIDOLiSH7もデビューを果たして、ついに7人で活動することが叶った。しかし未だに一織くんは「自分があの時失敗しなければこんな遠回りしなくて済んだのに」という想いを捨てきれずにいるように見えた。
彼は頭がいいから、どれだけ過去を切望しようとも未来は変えられないことを知っている。ただそう簡単に吹っ切れるものでもない。
「MEZZO"の仲が上手くいかなければいかないほど、一織くんが2人への罪悪感を強くしてるのは度々感じていたよ。でも、仲間に罪悪感持つなんてそんなの良くない。だからわたしも2人が上手くいくように働きかけてみたりしたけど、まあ結局はお互いで何とかしちゃったね」
「…あなた、そこまで気付いていたんですか」
「うん。あのね、一織くん」
「？」
「MEZZO"はもう大丈夫だよ。もしかしたらまだぎこちない部分もあるかもしれないけど、きっとこれからは2人で乗り越えていける。だから、一織くんはあの時の自分をもう許してあげていいんだよ」
「………」
「少しずつ、成功する自分も失敗をする自分も好きになってあげて」
今すぐは難しいかもしれない。
けれど、いつか。いつか彼自身があの時の一織くんを許せる日が来ることを願わずにはいられなかった。
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる？｣というセリフは変ではないでしょうか？ (2019年5月21日 11時) (
レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年4月12日 2時
