072 ここにいても ページ23
壮五くんが話してくれたのは、自分の出生とIDOLiSH7に入るまでの過程。
彼の音楽活動を応援するどころか猛反対していたお父さん、それがFSC会長の逢坂壮志。親としては会社を継いで欲しかったのだろうが、壮五くんが魅了されたのは音楽だった。そのきっかけを与えたのは、すでに他界されている彼の叔父。叔父はあまり売れてはいなかったらしいが、音楽が楽しいことを壮五くんに教えてくれたらしい。しかし音楽で成功するわけないというお父さんと意見が衝突し、その結果、最後に音楽を選んだ壮五くんは家を勘当されたそうだ。
「…叔父の葬式で、みんなが「ほらやっぱり」って言っているのが、とてもつらかった。ほら、やっぱり。音楽なんて保障のないものに夢中になったからこうなった。ほら、やっぱり。おかしな夢を追いかけないで堅実に生きていれば幸せだった。だけど。僕は…」
「…そんなことないって、言いたかった？」
「………。うん…。うん、そうなんだ…。そんなことない。叔父は幸せだった。叔父は素敵な人生を送っていた。大声でみんなにそう伝えたくて、この世界に飛び込んだんだ」
そして壮五くんが心配しているのはFSCは大手スポンサーであること。壮五くんが目をつけられている限り、これからのテレビ活動にはどうしたって支障が出てくるだろう。
だけどみんなは口を揃えて「大丈夫だ」と言い切った。自分たちがゼロみたいなスーパースターになれば誰も断れないだろうし、これからもIDOLiSH7にはレギュラー出演依頼は後を経たないため、それら全てに対応するのはFSCだって難しいだろう。その励ましを受けて、壮五くんの表情は少しずつ明るくなっていく。
「僕は…ここにいてもいいのかな…」
「聞かなくてもわかれっつの」
大和さんと目が合う。私は一息吐いてからふわっと微笑んだ。
「…IDOLiSH7は、7人でひとつのグループ。MEZZO"は、環くんと壮五くんだけのグループ」
「………」
「絶対に一人だって欠けちゃいけないんだよ。だってあなたたちは、嵐の中も過酷な状況の中も、どんな時でも7人だった。だからきっと、今回だって大丈夫」
「花音さん…」
「でもこれからは、こうやって抱え込んで倒れる前にちゃんとみんなに相談してね。環くん、本当に壮五くんのこと心配してたんだから」
「…すみませんでした」
「謝らなくていいんだよ。今までバラバラだったMEZZO"は、今日からここがスタート。わたしも一生懸命支えていくから、頑張ろうね」
「…はい」
「はい！」
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる？｣というセリフは変ではないでしょうか？ (2019年5月21日 11時) (
レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年4月12日 2時
