063 矛盾 ページ14
「TRIGGER？」
「はい。先程、ホテルでお見かけました。TRIGGERのみなさんも沖縄へ来ていたんですね」
「…へえ、そうなんだ。もしかしてわたしたちと同じホテルなのかな」
「あっ、そうなのかもしれません！となると陸さん、大丈夫ですかね…」
「…陸くん？たしか天くんに会いたがってるんだっけ？」
「はい」
「会っちゃダメなの？」
「いえダメというわけではないんですが…天さんの辛辣な一言で陸さんがストレスを抱えては困るので…」
「ああ、なるほど」
まさかTRIGGERが同じタイミングで沖縄に来てるなんて、神様はなんて意地悪なんだろうと思わずにはいられない。
別にわたしが彼らと会ってはいけない理由があるわけじゃないが、最後に会った時のことを思い出すと、とても会えるような状況ではなかった。言ってしまえば気まずい。ただ、下手に部屋から出なければ会う確率は確実に低くなるのだが、明日までずっと紡ちゃんと2人っていうのもちょっとだけ気まずかった。
「あれ？花音さん？どこかに行かれるんですか？」
「あ、うん。今日はもう仕事はないでしょ？」
「ないですけど…。花音さんが自分から外に出たがるとは思いませんでした」
「あはは…。ちょっと、ね」
「…気をつけてくださいね」
「ありがとう」
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紡ちゃんに「遅くなる前には絶対に戻ってきてくださいね！」と釘を刺されながらもわたしが向かった先は海だった。海は意外と好き。波音も海風も心を落ち着かせてくれるから、何も考えずにぼーっと立っていられる。
最近、自分の気持ちに矛盾が生じているのには薄々だけど気が付いていた。みんなを信じたいのに、何も話せない。後悔したくないのに、何も言えない。みんなのことを守りたいのに、わたしはみんなを傷つけてばかり。本当は約束を守りたいのに、裏切ってばかり。誰に対しても誠実になれないくせに、本当は誠実でありたいことを願ってる。
話してしまえばいいと思うことはあった。だけど、怖い。この関係や距離が変わってしまうことも、そして話すとなると向き合わなくてはならなくなる自身の過去も。
「………」
「…花音、さん？」
「！？」
「…花音さんも、沖縄にいたんですね…」
「て、天くん…」
ーーー神様は優しくない。嘘つきで弱虫で臆病者のわたしへの罰のようだ、そう思ってしまうくらいには。
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる？｣というセリフは変ではないでしょうか？ (2019年5月21日 11時) (
レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年4月12日 2時
