061 見せてよ ページ12
「一度きりの人生！オレの人生、面白くすんのはオレしかいねーじゃん？」
「…ミツ…」
「大和さんもやってみたらいい。どんな事情があるか知んねーけど、オレはあんたが本気で悔し泣きするところも、本気で嬉し泣きするところも見てみたい」
「…三月」
「見せてよ、リーダー」
「………」
ふと大和さんの表情を盗みみれば、さっきとは少しだけ違ってどこか吹っ切れたような顔をしていた。
「…花音ちゃん、ミツ」
「？はい」
「なに？」
「受けるよ。ドラマの出演」
「！」
「えっ！？いいのかよ！？やった！！マネージャーに早く伝えてやらなきゃ！！」
嬉しそうにはしゃいでいる三月を横目に、大和さんの言葉に耳を疑ってしまう。
別に初めから「絶対に出演を受けさせるため」に大和さんと会話をしていたわけじゃなかった。だから受けると言われて驚いてしまったが、大和さんの中で気持ちに変化があった証拠。それはきっと、三月が変えた。
「なあ」
「え？わたし？」
「あんたが偉そうに言う度に何がわかるんだとか思ってたし、自分のことすら話そうとしないあんたが他人に踏み込んでくるのが俺は正直腑に落ちなかった」
「…それは、ごめんなさい」
「別に責めてるわけじゃない。だけど、あんたの気持ちはちゃんと届いた」
「え…」
「俺はあいつらのために、IDOLiSH7にいる」
ーーー「だからさ、あんたももっと誠実にあいつらに向き合えよ」
誠実ではない、と思われていたのか。でも確かにそうだ。そう思われていても仕方ない。
わたしは負い目を感じながらみんなのコーチをしていて、話せないことばかりなのにみんなが触れないで欲しいところにズカズカと無神経に入り込もうとしている。誰がどう見ても、誠実ではないだろう。
彼らのことが大切で、信頼できる人たちだってことはちゃんとわかってる。あとはわたしに勇気がないだけ。自分自身の事情に向き合う勇気も強さもないだけ。それに気付いているからこそ、大和さんはそう言ったんだろう。
「…難しいよ。わたしには」
IDOLiSH7と初めて出会ったときから、たくさんの時を過ごしてきた。日を重ねる毎に、彼らがわたしを信頼してくれていることを感じる度に心にトゲが刺さる。すべて後悔と負い目と申し訳なさだった。背中をみんな教えてくれるのに、わたしは未だにそのトゲを無視して笑い続けていた。
ーーーリーダー二階堂大和のIDOLiSH7では初となるドラマ出演によってIDOLiSH7の名前は改めて知れ渡るのだった。
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる？｣というセリフは変ではないでしょうか？ (2019年5月21日 11時) (
レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年4月12日 2時
