【アイナナ】ココロの歌 (ページ49)

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2人を守るため、みんなを守るため。そのために分断しなければならない。それがどれほど残酷なことなのかはわかっていた。
ーーー彼らはどんな時も、7人でやっていくことを大切にしていた人たちだったから。
オーディション、初ライブ、活動停止、センターの持病、そして3000人を埋めたライブ。7人だったから乗り越えられたこと、7人でやっていくことに拘ったからこそ生まれた結果ばかりだ。きっと彼らをバラバラにデビューさせる以外に八乙女事務所から守る方法はないはずなのに、どうしてもそれこそが間違いだとは思わざるを得ないのは間違っていないはずだ。

「…もう一度、7人に戻れる保証は？IDOLiSH7は、2人でも5人でもない」
「花音さん…」
「わかってる。これしかないことも、これがきっと最善なんだってことも。けど、それでも…」
「…保証はない。数年後には7人で組める日が来るかもしれない」
「…数年後…」

どうにかしてあげたいのに方法がない。何とかして7人でデビューさせてあげることはできないのかと思った時、彼の言葉が蘇った。

ーーー『単刀直入に言おう。うちのTRIGGERに曲を提供しろ、九条花音』

もう、これしかないんだ。
自分の身勝手な願望、みんなの願い、それを一致できるのはこの誘いに乗ることだけ。わたしが我慢すればいいだけの話だから。

「………。わかった」
「大和さん！？」
「だけど、一度だけチャンスをくれ。社長が望む知名度に俺たちが到達することが出来れば、7人でデビューできるだろう？」
「もちろんだ。だが、時間はそうあげられないよ。来月にはデビュー告知をしたい」
「…短期間で、7人全員の知名度を上げる方法…」
「なにか大きなチャンスがあれば…」
「み、みんな大変です！」
「万理くん。どうしたんだ？」
「IDOLiSH7にミュージックフェスタの出演依頼がきました！」
「ミュージックフェスタ！？」

まるで神様が救いをくれたように、IDOLiSH7に訪れたのはミュージックフェスタへの出演依頼。いくらインディーズからも毎回出演依頼をかけてるとはいえ、路上ライブとローカル番組に出させてもらっただけのIDOLiSH7にまで依頼が来るなんて誰が想像しただろう。
この先の展開なんて誰にも想像出来ない。この先がどうなっていくかなんて誰にもわからない。IDOLiSH7がバラバラにならないように済むチャンスを掴んだように、わたしにだってきっとあるはずだ。
ーーーまだこの場所にいられる未来が。