043 仲違い ページ44
「おい待てよ！待てって言ってんだろうが！」
次のライブに向けてのレッスンの最中に、環くんと壮五くんだけを呼び出した紡ちゃん。何かあったのかなとみんな心配していたし、わたしもあまり良い予感はしなかったがレッスンをそのまま再開した。しかし、レッスン室にまで響いてきた環くんの怒鳴り声には見逃すことなど出来ず、みんなで彼らがいるであろう事務室に駆け込む。
そこには壮五くんに掴みかかる環くんがいた。
「…や、止めてください、2人とも！」
「こ、この怒鳴り声って、壮五さんと環！？」
「やばい、掴みあいになってる！」
「意外だなあ。このグループ初の殴り合いがあの2人になるとは思わなかった」
「悠長なこと言ってる場合ですか！止めないと！」
「…っ、2人とも落ち着いて！何があったか知らないけど君が悪いよ、環！」
「ちょ、陸くん！」
「何があったか知らないのになんで俺が悪いんだよ！？」
「だって…」
「なあ…？」
「とにかく、手を離せ。マネージャーを怖がらせるな」
「…っ、ちっ…」
何があったのか尋ねると、2人だけにテレビ出演のオファーが来たらしい。そこでみんなで行っていくことを大切にする壮五くんとテレビ出演に拘る環くんの意見がぶつかって揉めたのだろう。
「…2人に…？」
「みんなも喜んでくれんだろ？」
「………」
ーーーみんなが喜べるわけがなかった。
たとえ2人がテレビ出演をして、もしそこでIDOLiSH7の名前が出たって、7人でいなくちゃ意味がない。それに、いまの現状2人だけでの出演となると2人の名前だけがどんどん売れていってしまうだろう。残りの5人を置き去りにして。
人気格差、それは一番メンバーが気にしてしまう問題だからこそ慎重に対応しなければならない。明らかにどんどん差がついてしまうような出演をみんなが喜ぶはずがない。
「…僕は、出演を受ける気はない」
「あっ待てよ！」
壮五くんは部屋を出ていき、それを追いかけて環くんも部屋を出ていく。
いまのあの2人を一緒にしてもいいことないだろうし、街中で殴り合いなんて始められたらそれこそIDOLiSH7は終わりだ。
「わたしが2人を追いかけるから、みんなはマネージャーと待ってて！」
「花音さん！わたしも、」
「紡ちゃんはここで待ってて！いまレッスンなんてする気分じゃないだろうから休憩でいいから。ちゃんとみんなに話をして！」
「………。わかりました…すみません」
「じゃあ行ってくる！すぐに戻る！」
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年3月22日 22時
