004 再会 ページ5
「社長、失礼します」
万理さんが一度社長室の方に声をかけてから「どうぞ」と再び中まで案内をしてくれる。言われるがままに入れば、部屋には昨日会った小鳥遊さんだけではなく見覚えのない可愛らしい女の子もいた。彼女もスーツを着ているので、理由さんと同じようにこの人も小鳥遊事務所の事務員の方だろうか。
「ああ、来てくれたんだね！」
「…はい」
「嬉しいよ」
「お父さ…社長。この方は？」
いま途中で言い換えたもののお父さんと言った？もしかして小鳥遊さんの娘さん？
「彼女は彼らの振り付け師兼コーチをしてくれる子だよ」
「いや、まだ決めてないので仮ですけど…」
「それでも少しは興味があったから来てくれたんだろう？それだけでも充分だよ。わざわざ出向いてくれてありがとう」
「振り付け師兼コーチ…！初めまして、小鳥遊紡と申します！」
「…九条花音です。よろしくお願いします」
「花音さん、よろしくお願いします！」
小鳥遊さんの態度は、昨日私に無理矢理約束をこじつけた人とは思えないくらい優しいものだったので少し動揺した。おそらくこっちが本当の姿なんだろうな、というのは直感で感じた。
そして彼の娘である紡ちゃんはわたしがもしかしたらコーチをするかもしれないアイドルグループのマネージャーになるらしいとのことだった。さらにこれは後から聞いた話だが、彼女はまだ18歳と若いながらも、ここまで男でひとつで育ててくれたお父さんに恩返しをするべくこの事務所に入社をしたらしい。
その純粋にひたむきなその姿勢は可愛いと思い、好印象だった。
「それで紡くん。早速だけど、お父さんが見つけた7人。どう思った？」
「もー、お父さんじゃなくて社長でしょ。けど、素敵な人たちでした！きっとたくさんの人に愛されるアイドルになると思います」
「そうか、良かった」
「紡ちゃんはそのアイドルグループの子たちにもう会ったんだ」
「はい！バスケをしてましたよ」
「バスケ？」
アイドルなのにバスケ？体力をつけるためのトレーニングって考えればいいのかな？
「紡くんと花音くんが早速仲良くしているようで僕も嬉しいよ。じゃあ、早速オーディションをして4人落としてくれる？」
「はい！早速…」
「えっ…？」
「…4人落とす！？」
「うん」
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年3月22日 22時
