【アイナナ】ココロの歌 (ページ40)

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039 チケットページ40

野外ライブチケットの販売日。
お客さんが入るのか不安だったみんなは、練習を一時中断して事務所に集まっていた。

「…後1分で野外ライブチケットの予約開始…。………。完売しますように…。完売しますように…。完売しますように…」
「マネージャーが怖い顔で念を送ってる…」
「オレもすごい緊張してきた…」
「だめだよ。君の病気にストレスは良くないんだから…」
「そういうソウだって顔が強張りまくってるぞ」
「アイドルならスマイルスマイル」
「そう言いながら花音さんはなぜそんなにケータイを睨んでるんですか」
「気にしない気にしない」

不安と緊張の1分間。わたしも初めての経験をこれから試みるので緊張していた。

「あはは。のんびり構えてなさい。どんな結果でも君たちは最高だよ。よし、じゃあ今日中に完売したら焼肉を奢ろう」
「焼肉！？」
「いいんですか！？鮭弁やトンカツ弁当を飛び越えていきなり焼肉で！？」
「いいよ。ただし、今日中に完売したらね」

そう悠長に話をしている間に、事態は大きく変わっていた。

「…完売しました」
「は…？」
「か…、…開始3分で完売です…」
「嘘！？」
「イエーーーーイ！コングラチュレーション！やりました！」
「ば、馬鹿。喜ぶのは早い。見間違えとかじゃないんですか？」
「五度見しました」
「すげえ…っ！前回はガラガラだったのに、ものの3分で完売だって！」

IDOLiSH7の台場野外音楽堂でのライブは3000人満席が決定した。まるでお祭り騒ぎのようにみんなは喜びはしゃぎ、紡ちゃんは安堵から机に突っ伏して泣き始める。そしてわたしも。

「良かったあ…」
「そういえば、カノンはずっと何を？」
「無事にIDOLiSH7のチケット、ゲットしたよ！当日は観客席からみんなのこと見させてもらうね」
「えっ！？」
「チケット戦争なんて初めてだったけど勝ててよかった…。これでもしもチケット取れなかったら、ライブ行けなかったところだよ」
「き、来てくれるんですか…」
「いつもオレたちのライブ観にこなかったかののんが…」
「わざわざチケット取ってまで！？」
「わたしはスタッフじゃなくて、観客席から君たちを見たかったからね。ちゃんとチケットを買って、君たちのファンとして！」

自分自身の事情でライブ裏に居たくなかったというのはあったけど、何よりも彼らのコーチではなくファンとして観客席から応援したいとずっと思っていた。だってチケットとはアイドルとファンの間を繋げる大切なものだから。