【アイナナ】ココロの歌 (ページ26)

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025 居場所ページ26

大和さんの言ったように、環くんはすごく自由な子だ。17歳の若さを存分に生かした、もう22歳のわたしからするとちょっと若々しすぎる懐かしい時期。いろんなことに挑戦して、失敗も成功もする時代真っ只中の環くんが強く主張した「テレビに出たい」という気持ち。ただみんなに自慢したいだけとかで彼がわざわざオーディションを受けて、知らない人たちとアイドルグループだなんてするはずがない。だったら、テレビに出ること自体に何か目的があるのかもしれない。
そんな環くんと正反対で、テレビに夢すら持たない大和さん。オーディションを辞退しようとした時に言った「復讐」はただの格好つけではないだろう。でも、本当にただの格好つけで復讐なんて面白い冗談ならいいのにと思うのは、わたしの身勝手な願望だった。そうじゃないと、今までたくさん傷ついた彼がまた傷ついてしまうような気がしたから。
このグループはどうしてここまでこんな人たちを集められたのだろうと不思議に思うくらい、それぞれが叶えたい願望や他人には見せない影を持っている。わたしはマネージャーではないけれど、彼らに向き合っていたいと強く思った。

「環くん、大和さん」
「？」
「これからきっと色んなことがあると思うの。楽しいこと、面白いこと。だけどそれだけじゃなくて、今回みたいにもどかしくなってしまうことも、もしかしたら辛くて悲しいこともあるかもしれない」
「…かもな」
「それでも、わたしはIDOLiSH7の…みんなの味方でいる。もしも間違っていたとしても、わたしだけは味方でい続けるよ」
「間違ってもいいんだ？」
「うん。だって間違うことは悪いことじゃない。けど間違いを正してくれない人がいないことはつらいことだから、わたしが手を引っ張って正しいところに戻してあげたい」
「………」
「わたしは絶対にIDOLiSH7を見捨てたりはしない。約束する。だから、2人からの約束も欲しいの」
「なに？」
「…IDOLiSH7を大切にしてね」

その気持ちさえあれば、きっと大丈夫だから。

「………」
「突然、ごめんね。なんか急に言いたくなっちゃって」

2人の抱えているものを背負えるなら背負いたい。けど彼らはすごく優しい人だから背負わせてなんかくれないんだろう。でもそれでもいい。
ーーー彼らにとってIDOLiSH7が救われる場所であるなら。大切な場所って言えるようなところであるなら。