024 活動停止 ページ25
「…TRIGGERのライブ…」
無事にチケット9枚を確保した紡ちゃんはIDOLiSH7のみんなを集めると活動停止を発表した。
「ええ。一ヶ月後のTRIGGERのライブまで、IDOLiSH7は活動停止です」
「OH、バケーション！ストックアニメ崩せます」
「馬鹿！謹慎みたいなもんだよ！」
「…ふーん」
「でも、マネージャー。やっと僕らの名前が浸透してきた大切な時期なのに…」
「大事な時期だからこそです。自分たちの活動を抑制した上で、外部から刺激を受けましょう」
「なんか、マネージャーっぽくない言い回しだな？」
「わたしから提案したの。最近のみんなはちょっと意識が低すぎる。だから、TRIGGERのライブまでは歌もダンスも禁止しよって」
「そこまで禁止なのか！？」
「そうです。以上、解散です！」
突然の発表に「はい、わかりました」と納得できるはずがないのだが、紡ちゃんは無理に締めくくるとそそくさと部屋を出ていった。
初めはマネージャーに抗議しようだとか、こんなのおかしいだとか色々と文句の声も出ていたが、時間が経つと渋々といったように１ヶ月どうするかを考え始めていた。納得は出来ていないが、そうするべきだと彼ら自身も若干感じていたのだろう。
ーーー長いな、一ヶ月。わたしはどうしようかな。
「デビューする前に活動停止か。一ヶ月、タマは何するんだ？」
「学校行くけど」
「ああ、学生だもんな。イチと同じ学校なんだっけ？おまえみたいな根っからの自由人が、なんでアイドルになろうと思ったんだ」
「…テレビに出たい」
「………」
「テレビか。そんないいもんでもないぞ。嘘を吐いて笑ってる奴が並んでるだけだ」
大和さんと環くんの会話にわたしは入れなかった。
テレビに出たいと思う環くんとテレビを嘘の世界だと知る大和さん。彼らの性格を踏まえると、やはりアイドルを目指した理由に何か影が潜んでいるように感じる。一体、2人は何を抱えているのだろう。
「ヤマさんは？」
「俺？」
「言ってたじゃん。復讐だとかなんとかって…」
「聞いてないだけで聞いてんだな。ありゃ冗談だよ。格好付けただけ」
「…ふーん」
「…本当に？本当に、ただ格好つけただけ？」
「花音ちゃんずっと黙ってるから聞いてないかと思ってたよ。そう言ってるじゃん。復讐だとかそんなドラマみたいなこと俺にあると思う？」
「………」
大和さんだから、あると思ったんだよ。
だってあなたからは、アイドルを目指すみんなのようなキラキラとしたものが見えないんだもん。
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年3月22日 22時
