016 レッスン ページ17
昨日のうちに音源をもらい、あらかじめ振り付けも考えておいた。歌の前にまずは全員でダンスを合わせることを意識して練習をしていく。
それぞれの能力に不安要素も度々あったが、元より実力にちいては文句はない。練習は順調に進んでいった。
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「かののん、教えんの上手いな」
「えっそう？環くんにそう言ってもらえるなんて嬉しい」
「昨日からずっと思ってたんだけどさ、花音ってめちゃくちゃCrarisuのカノに似てるんだよな」
「そうですね。見た目もそうなんですが、今日のレッスンで声質なんかも似てるなって…」
「壮五もそう思ってたんだ！花音もよくCrarisuのカノに似てるって言われないか？」
「あはは、わりと言われる。言われる度に恐れ多いって思ってるよ」
「OH、カノンは十分美しいですよ」
「ほんと？ありがとう、ナギくん」
「Crarisu、確か5年ほど前に解散してしまったアイドルですよね。活動期間はたった2年間なのに未だにファンも多いと聞きます」
「へえークラ…なんとかってすごいんだ」
「四葉さん、あなたCrarisuを知らないんですか？」
「知らない。興味もないし」
「これからアイドルとして活躍していくんですから興味は持ってください。彼女たちのパフォーマンスは勉強になりますよ」
「ふーん」
ちょっとだけドキッとした。
バレたら悪いことなんてひとつもないけど、ただ怖いだけ。わたしがCrarisuだと知ってしまえば今の関係は何かしら変わってしまうだろう。
みんなの中で九条花音の認識が変わるかもしれない。彼らがデビューした時にわたしの存在が公になるかもしれない。IDOLiSH7が売れたのはCrarisuのカノのおかげと噂されるかもしれない。すべて起きるとは断言出来ない「かもしれない」だけど、可能性があるなら今は何もしない方がいい。
「みなさん、お疲れ様です」
「あっマネージャー」
「紡ちゃんも来たところで、おしゃべりの時間はは終わりだよ」
「歌のパートを決めたいので、歌合わせお願いしまーす！」
「マネージャーも一緒にいるんだ」
「わたしだけで決めてもいいけど、マネージャーは紡ちゃんだからね。最終的に確認してもらう手間を考えると、立ち会ってもらった方が楽なの」
「なるほどな」
「マネージャーの方が花音より偉いの？」
「そうだよ」
「花音さん！違います！」
「えーマネージャーの方がわたしより上なんだから胸張っていいのに」
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年3月22日 22時
