カマが愛を背負ってくる【JW】

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中学3年生ともなると、どんどんマセてくるのが常なんだとのんちゃんはよく淳ちゃんに言っている。

でも色恋に溺れても、大人になることに浮足立っても、破ってはならないことがひとつだけあるのよとも言っていた。


『誰かのモンやってわかってて、手ぇ出すのは一番たち悪いんや。人間やと思わんほうがええねそんなんは』


そんなの漫画やドラマの世界やろ、とリュウちゃんが言っていたけど、真剣な目をしてのんちゃんは私を見つめる。


『淳ちゃんは認めたないやろうけど、大毅は結構良物件やねん。中3やとしても女は女。何があるかなんてわからへんねんから、油断はせんと監視しときよ』


首を傾げて聞いていたけど、今ならわかる。
そういうことか、ああいうことか、と。


「あ、重岡きた」
「A見てんで」
「あ、アイツめちゃくちゃ睨んでる。こわ」
「うちら睨み返したるわ」


友達三人がわらわらと移動して、しげくんが私の席までやってくる。

「A〜〜〜」と間延びした声で呼ばれるのが心地いいことを、私は誰にも言っていない。



「どうしたん、しげくん」
「今日な、先帰っててええよ」
「放課後うちに寄るんちゃうの？」
「なんや、アイツが委員会のことで話しある言うててさ、終わったらAんち行くし」
「委員会…」


よろしく、と去っていくしげくんの背中を見つめていれば私を見つめて女の子はにっこり笑った。

わらわら戻ってきた友達たちが口々に「決める気や、今日決める日やで」「何ていうんやろ？」「あれで落ちる男が実際おるから怖いけど、重岡はないやろなぁ」と言う。

どこかで私もそう思っているけど、100%じゃないことが少し怖い。

俯くと、友達が頭を撫でてくれた。




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