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同じ大学にいるだけで、同じ空気を吸えていると思っただけで心が洗われる気がする。

課題のたびに調べものだと言って訪れる図書館は、ほぼ毎日ルーティンのように組み込まれていた。

バイトもやっていたけど、大学の近くの学生がよく利用する喫茶店にして

もしかしたら、会えるかもしれへん。
なんて夢見がちな乙女のように思いながら働いて。


…まぁ、あの日以来見かけてへんけど?


言葉も交したことがないのに、避けられているのではないかと思うくらいに一切姿を見かけなくなってしまったその人は

未だに名前も知らない美女のままだった。

あんなに綺麗なら有名でも不思議じゃないはずなのに、誰もそんな女生徒を知らないと言う。

幽霊なん?………いやいやあの先輩はおる言うてたしな………………え?全部幽霊かもしらん?いやいやいやいや!!!!

首を思い切り振って、持っていた本を元の棚に戻すために立ち上がった。

そういえばこれどこから持ってきたっけな、と本の背表紙を見つつ、最後の一冊の在処を探していると



「それ、ここ」



小さかったが、確かに俺にかけられたと思われる声が聞こえて振り向いた。



「な、あ、え……………」
「え?」
「いた…………………女神……………」
「は?」
「あ、ちが、えっと美女…………」
「び、じょ」
「あ、えっと、あの!名前は!」
「…………………知らん、こっち来んといて」



やっと出会えた俺の女神(美女すぎてついに発光して見えてきた)は、とてつもなく冷たい目で俺を見つめる。

警戒されてる?と思ったのも束の間
もうダッシュで俺の目の前から消えていったその人を俺は追いかけることもできないまま




「声、意外にハスキーなんやなぁ」



しみじみと本を空いた棚にもどして、呟いた。





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笙緒(プロフ) - とても感動しました。自身も普通ではないので、こういう話を書いてくれることに感謝しています。とくにハマ子さんの「完璧な中途半端になる」が刺さりました・・・ (2019年1月24日 4時) (レス) id: e66222057e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - カマ愛とても好きなお話です!移行後も楽しみです!たくさん世間を知ったジュンちゃんを始め、言葉がどれも刺さりました。ハマコのお話はいろんな気持ちになりました…。せかんども楽しみにしています!! (2018年12月19日 3時) (レス) id: 99b67e1c08 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 更新お疲れ様です。そして、ありがとうございます。毎回楽しく読ませていただいてます。個人的に、いろんな感情とマッチして、揺さぶられて、涙が出てしまいました。とても素敵な作品だと思います。これからも楽しみにしてます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 03516e5203 (このIDを非表示/違反報告)
うめはな(プロフ) - 初コメ失礼します(*_ _)深瀬さん更新ありがとうございます!何かのご縁で初めて深瀬さんに出会ってから1.2ヶ月ほど?でしょうか。この作品が本当に好きで積もる思いが多くありすぎるので文字制限の中で感想を伝えきれません…笑 セカンドも楽しみにしていますね。 (2018年12月18日 22時) (レス) id: 4b9dff3fa4 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 更新待ってました!嬉しすぎます!取り急ぎ嬉しい事だけ伝えたくて!時間作ってゆっくり読みます(^^) (2018年12月2日 19時) (レス) id: 69b62aacad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:深瀬 | 作成日時:2018年10月21日 23時

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