【6】ハマったらそれまで side:Kiriyama ページ24
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「っだぁ……！」
ふんわりと香る香水が誰のものかなんて聞かなくてもわかる。
今夜もフラレたこの俺は、こうして項垂れて、細こい腕に肩を抱かれるのだ。
「照史、今日も潔いほどの撃沈、おめでとう」
「そらどうも…」
ハマコに酒を注がれながら、弱いそれをチビチビ煽る。
俺をフッた大好きな人は、今もカウンターにいて
俺じゃない誰か、誰かって言っても五丁目の男前なサクライさんだけど、や、そのサクライさんに笑いかけている。
お酒を注いで、注ぎ返そうとしたサクライさんに慌てて両手を振って、でも最終的にペコリと頭を下げていた。
見たことないなぁ、あんな顔。
今までで一度だって、俺は大好きな人のあんな笑顔を向けられたことがない。
「逆に不思議でしゃあないわ、照史くんモテるやろ？別に淳子ちゃんやなくたってええやん」
ハマコの逆サイドに座ったノゾミがキラキラふわふわした姫みたいなドレス姿で淡々と呟く。
待て、それは俺の酒じゃ。
「のんすけ、いつも言うてるやんか。照史はずうっと、男の格好してたときからジュンに惚れてんねん。もう男とか女とかどうでもいいくらいジュンそのもんに惚れてる馬鹿」
「それは見てたらわかるけどやなぁ、あんなに邪険にされたんじゃ想い続けるのもしんどいやろ。アタシは勘弁やな」
「それこそ逆にジュンがあそこまで冷たいのも照史くらいやけどな。ええやん、塩対応独占やで」
「塩いうかあれもう氷やん、氷の国の女王やで」
「ありのままの姿見せたらええんちゃう？」
「照史くんは見せてあれなんやから無理やろ」
可愛い格好してるくせに何とも辛辣なノゾミの言葉に軽く傷つきながらも、目線だけは淳子ちゃんを追う。
一瞬目があったと思ったのに、秒で逸らされた。
何なら睨まれた。ショックである。
「ま、どう見たって脈アリサインなんやけど。そこに気づかないのが照史くんやねんなぁ」
俺がノゾミのその言葉の意味に、自分で気づくまで。
それはそれは長い年月がかかるお話になってまうから、いつか聞いてもらえると嬉しいなぁ。
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笙緒(プロフ) - とても感動しました。自身も普通ではないので、こういう話を書いてくれることに感謝しています。とくにハマ子さんの「完璧な中途半端になる」が刺さりました・・・ (2019年1月24日 4時) (
レス) id: e66222057e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - カマ愛とても好きなお話です！移行後も楽しみです！たくさん世間を知ったジュンちゃんを始め、言葉がどれも刺さりました。ハマコのお話はいろんな気持ちになりました…。せかんども楽しみにしています！！ (2018年12月19日 3時) (レス) id: 99b67e1c08 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 更新お疲れ様です。そして、ありがとうございます。毎回楽しく読ませていただいてます。個人的に、いろんな感情とマッチして、揺さぶられて、涙が出てしまいました。とても素敵な作品だと思います。これからも楽しみにしてます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 03516e5203 (このIDを非表示/違反報告)
うめはな(プロフ) - 初コメ失礼します(*_ _)深瀬さん更新ありがとうございます！何かのご縁で初めて深瀬さんに出会ってから1.2ヶ月ほど？でしょうか。この作品が本当に好きで積もる思いが多くありすぎるので文字制限の中で感想を伝えきれません…笑 セカンドも楽しみにしていますね。 (2018年12月18日 22時) (レス) id: 4b9dff3fa4 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 更新待ってました！嬉しすぎます！取り急ぎ嬉しい事だけ伝えたくて！時間作ってゆっくり読みます(^^) (2018年12月2日 19時) (レス) id: 69b62aacad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬
| 作成日時：2018年10月21日 23時
