カマが愛を背負ってくる【JW】

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「アイツに告られて、今までのこと全部合致して。振ったはええけど、突然情けなくなって昨日は、行きませんでした。」



トモちゃんにかけられたプロレス技が効いてるのか、節々痛そうな顔をしつつ頭を下げるしげくん。

騒ぎを聞きつけてやったきたのんちゃんがゲラゲラ笑っていたのを、リュウちゃんが宥めていた。



「アイツ、Aのこと変なやつって言うた。家族があんなんだと、変わった子になってまうんやね、とか何言うてんねんって本気で思った。Aは世界一いい子やわ、アホかって」



固まってしまう。やっぱり偏見はどこまでもあるんだなぁというのはわかっていたけど、私のことだけならまだしも、大好きな五人を否定されるのは。

フツフツと、怒りにも似た感情としげくんが私を見つめてふにゃりと微笑む顔で心臓が跳ね上がってしまう。忙しい。

マジマジ見ると、マスクを取ったしげくんのほっぺたが赤くなっていた。

首を傾げるとしげくんが続ける。


「何も知らんとみんなを否定する権利はアンタにないわ言うたら、ビンタされてんな。これも昨日行けなかった理由、です」
「痛そう…」
「オカンに問いただされて白状したら学校乗り込む言うて聞かんねん。もしかしたら今頃乗り込んでるかも、わからん…」
「私も行ってくる、暴力は最悪やよ」
「ええねん！ええねんって！俺やってAに余計な心配かけたないと思ってやった結果、不安にさせたわけやし…報いや。報い。」
「ホンマやで」



不意に聞こえた声の主は淳ちゃんで、苦笑いのハマちゃんを連れてしげくんの元にやってくる。



「言わなわからんのよ。言わんから不安にさせるし、不安になる。幸せにしたいと思うなら、隠すな、丸裸のお前を見せてから付き合え」



要約すると、泣かすなっちゅうことや。
ハマちゃんの通訳でしげくんは頷いた。

認めたわけちゃうしな、と呟いたあと「開店するから家入って」と私としげくんに言う淳ちゃん。



お姉ちゃんたちの賑やかな声を聞きながら、しげくんと並んで家に入るとしげくんの手がそっと私の手を握った。



「好き、やから。Aも、ここの人らも大好きやから俺」
「私も、しげくんもしげくんの家族も友達も、みんなすき」
「…照れくさ」
「しげくんが言ったんやからね」
「全部これから言うたるから覚悟しとけ」
「望むところや！」



意気地なしの恋心、恋する乙女はずっとずっと隣り合わせ。

でも、それでもきっと
未来は明るい。なんかふと、そう思った。




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【9】きっとずっと信じたかった　Side:Hamako→←.

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