夢 ページ1
「眠り姫みたいやねぇ」
何故でしょうか。
「今すぐにでも起きるみたいな顔してんのに」
私は、何故。
「いつになったら、目、覚ましてくれるん？」
こうなってしまったのでしょう。
*✩
「Aさんは峠を越えました。いつ目を開けてもおかしくはありません。脳波も正常です。」
そんなことをいう医師を見つめる彼は、あからさまな不機嫌を顔に出していた。
昔からすぐ顔に出る。
お前らはそんなところもそっくりだなと、古い友人たちは皆口を揃えて言っていた。
「流星くん、ありがとう。今日は帰っても…」
「いや、いつ起きるかもわからんのやったら。傍にいさせてください。お願いします」
お母さんに頭を下げる彼。
もう何日もまともに寝ていないのだろう。
目の下にはクマが色濃く出ていた。
私に向かってじっと視線を送る彼に、私は触れることができない。
何故か私の思念だけは、こうしてふわふわ浮いていて、私と彼の二人しかいない病室を眺めている。
*✩
気づけばこうして、目を開けない自分を見ていた。
涙を流して私の身体に縋る家族や、離れたところでボロボロ涙する友人たち。
そして私の傍らに立って難しい顔してる恋人の流星。
全然わからなかった。でも、思い出した。
.
雨の日に、流星を見つけて階段を駆け下りたその時。
モテる彼にはストーカー紛いの付き纏ってくる女性がいて、ご想像通り押される掌の感触と襲う衝撃だった。
最後に聞いたのは「A！」と叫ぶ流星の掠れたハスキーな声。
すぐにその女性は目撃者数名に捕まって、藻掻きながらも流星への愛を叫んだらしい。
「ホンマ、ごめん」
「俺がもっとちゃんとせな」
「ここで逃げるのは男失格や。やから、A守れるもっと強い男になるから」
「なぁ、起きて」
「流星には無理だよって笑ってくれやぁ」
ベッドのすぐ横で、私の手を取りながら涙混じりに告げる流星のことを、私は触れることさえできない。
ごめんなさい。
私も貴方に言ってあげないとダメなのに。
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一波(プロフ) - とっても可愛いお話に心があったかくなりました(^^)このお話を色で表すと天使の通り道の明るいあたたかい日の光を透かした白ですね(^^)素敵なお話ありがとうございました(^^) (2017年12月6日 9時) (携帯から) (
レス) id: b00addc009 (このIDを非表示/違反報告)
まふぃん - とってもおもしろかったです！いっぱいキュンキュンしました！流星がめちゃくちゃかわいすぎて...笑 (2017年7月14日 19時) (レス) id: e458dfc078 (このIDを非表示/違反報告)
深瀬(プロフ) - 詩音さん» コメントありがとうございます！胸きゅんお届けできてよかったです。 (2017年6月25日 17時) (レス) id: 5852a1f709 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 初めまして。とっても可愛い作品で胸がキュンってなりました。 (2017年6月25日 10時) (レス) id: 9f6ccccbca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬
| 作成日時：2017年6月24日 19時
