『 保 健 室 の 藤 井 先 輩 』

1 ページ2

∗




PM8:50




ｶﾞﾗｶﾞﾗ…




保「あら、Aちゃん」




「おはようございます。」




ﾁﾗｯとカーテンの閉まっているベッドを見ると




保「いつもごめんなさいね。」




保健室の先生が申し訳なさそうに言う




「大丈夫です、もう慣れたんで。」




じゃ、私職員会議だからって言って出ていく先生




「はぁ…」




小さな溜め息を漏らして




カーテンを開ける




そこには眠っているこの学校の王子様




目に微かに掛かる前髪をうざそうに眉をしかめている彼




「…藤井先輩、起きてください。」




ゆらゆらと揺らしても一向に起きない彼




『んぅ…、』




「藤井先ぱッ…」




ｸﾞｲｯ




腕を引っ張られて藤井先輩の腕の中へ





「…うるさい、」




そう言って私を抱き締めたまま二度寝しようとする彼




「ちょ、起きてください」




腕の中で暴れれば




『ふわぁ…、ん、おはようのちゅーは？』




大きな欠伸をした大きな王子は寝ぼけているのか




「早く行きますよ」




手を引っ張って起こそうとすれば




むすっとして




『…ちゅー』




なんて言うから、ほっぺにしようとしたら




ｽｯと顔を背けられて唇に。




『んふ、ごちそーさま』




小悪魔のような笑顔で保健室を出ていく彼




「…。」




それでも怒らない私は藤井先輩に甘いのだろうか。





∗

2→←保 健 室 の 藤 井 先 輩

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す