「愛してない」 (ページ40)

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「やー……まじでびびった！まじで猫だから！」

『ね……猫？』

ひかるさんの後に続くようにその人は中に上がり込む。

ひかるさんは心底うざったそうに呟いた。

「何でお前上がってんだよ」

「えーいいじゃんいいじゃん！ね？子猫ちゃん」

『子猫…』

何を言っているのかよく分からなくてひかるさんを見上げると、深く息を吐きわたしの頭を撫でた。

ちょっと、嬉しかったり。

「おいふっか。お前いい加減帰れ。」

「何でぇ」

「A見たいだけっつったろ」

「喋りたい！」

ふっか、と呼ばれた人はわたしに振り向き、わたしの手を握った。

「深澤辰哉です。そこに居る岩本照とは幼なじみ。」

『幼なじみ…』

ひかるさんは不機嫌そうに片眉を上げた。

『神谷Aです、』

「Aちゃんね」

ヘラヘラ笑う深澤さんへの距離感が掴めない。

もとよりわたしはヘラヘラ笑ってる人は苦手なのだ。

「かーわいー！」

そう言いながらグリグリわたしの頭を撫でる深澤さん。

それが少し嫌で、ひかるさんに目線で助けを求める。

「ふっか。」

「はいはい」

ひかるさんが呟けば、深澤さんはパッとわたしから手を離した。

「お前、ご飯食べたのか？」

『あ…ひかるさん、待ってた』

「そ。んじゃ食うか」

ネクタイを緩めながらそう言う彼に嬉しくなって、急いでご飯を温め直す。

『深澤さんもどうですか？』

なんだか帰すわけにもいかなそうだし、一応そう問い掛ければ深澤さんの顔が一気に明るくなる。

そんな彼を見て苦笑しながらご飯の準備を始めた。