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暖かな部屋でぼーっとソファに座っているとココアを出された。
深澤さんはわたしの頭をポン、と撫でられて、また涙が出そうになった。
「何でこうなったのかだいたい予想はつくけど……」
『…わたし…』
「うん」
『ひかるさんと…寝た、』
「……」
『さくのさんの結婚で、ひかるさん凄く落ち込んでて…わたし、守ってあげたかった。わたしなら受け入れるのにって、だから…っ』
「何で、出てきたの?」
何で、なんて。
わたしにだってよく分からないよ。
ただ、もうあの関係でいられなくなると思った。
怖かった。
わたしは、逃げた。
『きっとひかるさんは…わたしと寝たこと、自分を責めるでしょう…?』
「…だろうね」
『わたしはひかるさんの事が大好きで抱かれたのに。後悔とかして欲しくない、』
「……」
『そんなの、わたしが辛すぎる…』
「…すごいわがまま」
『そうです。わたし、逃げたんです。』
もちろんこれが全ての理由じゃないし、ていうか自分自身でさえ分かってない。
ただ、わたしの事で傷付いて、後悔をする貴方をわたしが見ていられないのは、事実。
本当に、わがままで、ひどい女。
そうやってわたしも、さくのさんのように、ひかるさんから逃げたんだから。
「戻る気はないの?だってこのまま黙ってって訳にもいかないでしょ」
『…今は……』
「…まぁ、Aちゃんに照の事言っちゃった俺も責任感じてるし…うん、分かった」
深澤さんは携帯を取り出し、少し操作をした後誰かに電話をかけた。
まさかひかるさんじゃないだろうかとビクビクしてるわたしの前で、深澤さんは電話の相手の名前を告げた。
「ー…雅、」
さっきとはまた違う緊張が、わたしの中を駆け巡る。
事情をサラッと話した深澤さんは、やがて電話を切った。
『…あ、あの』
「雅今から来るって」
『え!?』
「事情話したらうちに来れば?って言ってたよ」
急に決まってしまった事に頭が着いて行かず、呆然と深澤さんを見つめた。
深澤さんはわたしの頭を撫でて、柔らかく笑う。
「…照には、」
『言わないで……?』
「けど、アイツも心配してるよ」
『……お願いします』
ひかるさんに伝えたところで、どうなる事もない。
ひかるさんはきっと、もう二度と、わたしに会わない。
そういう人だから。
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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時