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目力のある大きな瞳が、わたしを捕まえる。


「……名前何だっけ」

『……Aです、』

「ああ、そうそう、変な名前の!」


そう言って笑った雅さんとわたしを見て、深澤さんは首を傾げた。


「知り合い?」

『あ……こないだ、ひかるさんのマンションに来てて…』

「何お前、また行ったんだ。」


呆れたように言う深澤さんに、雅さんは鼻を鳴らした。


「こっちはちゃんと合い鍵持ってんだからいいでしょ」

『え…』

「それよりアンタ、何でここに居んの?バイト?」

『あ…はい。』

「もしかして、辰哉が誘ったとか。」

「せーかい!」

「アンタ好きそうだもんねそういうの」

「は?」


雅さんは、わたしを見てピンク色のキラキラ光る唇の端を吊り上げた。


「…お前何で来たの。」


雅さんはわたしを見つめたまま、口を開く。


「電話が来たから…」

「電話?」

「……、」

「…何だよ?」

「ー…から」

「え?」



「桜乃から。」



“さくの”

雅さんの口から出された知らない名前は、重く、深く、わたしの胸にのし掛かった。


さくの?

嫌な予感がする。


「……お前それ、照には…」

「言ってない。言うつもりもない。」

「…とにかく今仕事中だから。また連絡するわ。」

『……、』

「Aちゃん。」


深澤さんは固い顔付きのまま、振り返ってわたしに声をかけた。

言葉が出ないわたしは、深澤さんを見つめたまま。


「今日ちょっと早く閉めるから。悪いけどAちゃんみんなに伝えてくれる?」

『あ……はい。』


レジ中止のボードを立てかけて、スタッフルームに戻った。

雅さんと深澤さんはまだ、話し合いのまま。


ザワザワと、胸が落ち着かない。

何でなんだろ。

何が引っかかってるんだろ。



“さくの”



その名前が、わたしの頭から離れない。



だって、その名前……

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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