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翔太と会ったことはひかるさんに伝えぬまま、翌日もバイトへ向かう。

一番に駆け寄って来てくれたのは、深澤さんだった。


「Aちゃん!」


駆け寄るなりわたしの頬に手を添えて無理矢理顔を上に上げさせられた。

うっ、と奇妙な声が上がってしまう。


「ん、顔色いいね」

『い、痛いんですけど……』


よしよし、と雑に頭を撫でられて、不意に奥にいた佐久間さんと目が合って笑い合う。

それにつられてその場にいた他の従業員の人達も笑顔だった。

着替えてレジに入る。


『今日はお客さん少ないんですね。』


レジの近くの棚を整理してる深澤さんに言えば小さく頷いた。


「まぁ忙しくなくて助かるけど」

『そんなの店長さんが言っちゃっていいんですか。』

「だってまたAちゃんに倒れられたら嫌だもーん」


時々、深澤さんは、冗談か本気か分からないような事を言う。

根に持ってんのかな。

お客さんが近くに居ない事を確認して、わたしは頭を下げた。


『ごめんなさい。迷惑…かけちゃって。薬とか…ひかるさんから聞きました。』

「迷惑って、何の?」

『バイト休んだ事とか…』

「Aちゃんって鋭いの?鈍いの?」

「え?」


わたしに背を向けて、いつものからかい口調とは違った声を出す深澤さんに少し緊張が走った。


「俺怒ってるよ。Aちゃんのそういう自己犠牲的なとこ」


放たれた言葉に、言葉を失った。

自己犠牲?

何、それ。


『意味が分かりません。』

「言葉通り。そう見える」

『……』

「それは誰かのため?自分のためなの?」


心臓が、嫌な音を立てて高鳴った。

それに気付かない振りをして、わたしは深澤さんの顔を見て笑う。


『何言ってるんですか。わたし、もう大丈夫ですから。もうあんな事ないようにします。』

「そうじゃなくて、」

『大丈夫です』


深澤さんの声を遮るように声を出せば、驚いたように目を見開いた。

少し垂れ気味の瞳が、大きくなる。


「……Aちゃんが」


しばらくの沈黙の後、深澤さんは口を開いた。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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