お父さんのぬくもり ページ9
約30年前
惑歌「おとーさーん、行ってらっしゃーい」
コナクリ「ああ、惑歌 お母さんの言うことを聞くんだぞ」
あの時、私はなぜお父さんが泣きそうだったのか分からなかった。
でも今ならわかる。
沢山のローレライのマーク、皆が応援の歌を歌っているが、悲しそうな声だ。
徴兵だ。
あのときから、お父さんを見ていない。
お母さんも話を逸らすばかり。
お父さんは南アフリカの生まれで
暫くすると、戦争の原因、状況、様々なことが分かってきた。
私達妖怪は人間の信じる力によって支えられている。
その信じる力で、その妖怪の能力自体も決まってしまうのである。
ローレライは基本海近くの洞穴に住み、海藻や魚介類を食べている。
そして我々の敵、人魚は海中に住み、海藻と貝を食べている。
人魚には魚と話ができるので、魚類は食べないらしい。
人魚達が人間に見つかりやすい陸上を手に入れたくて、魚を食べる私達を攻撃してきたのか、
ローレライが人魚達の人気が欲しくて攻撃を仕掛けたのか、
よく分からないがどちらも引く訳にはいかなそうだ。
その頃はあまり覚えていないけど、1人でやりくりし始めてから少しして、珍しく堅い高そうな服を着た人が現れた。
役人「うぅっ、なんて匂いだ。……あっ、こんな所に。」
役人「お母様はもうお亡くなりになっていますね。
これが、あなたの家系の証、お父様からの遺品ですよ。」
ものを貰えるのはとても珍しかったから、精一杯の笑顔で
惑歌「ありがとう!」
と応えた。
綺麗なピンク色のサクラガイ、いつもお父さんが首から提げて、大切にしていた。
中を開けば、音を重ねる為に入れた自分の声を、好きなときに歌ってくれる装置が残っていた。
貝殻だから中はまだ空いている。
また暫くして、何処かにしきりに出かけてた気がするけど、それも出来なくなる程忙しくなった。
とある難しい歌を、練習して皆で歌うらしい。
私は歌詞の意味が分からなかったけど、
目の前の人魚達がどんどん上へ力無く浮いていき、私達は褒めてもらった。
ただ、寝ている時に、間違ってその歌を歌っちゃった子がいて、
その子の仲良しさんごと全員浮いてっちゃった。
訓練は歌が嫌いになるほど大変だったけど、
私は嫌なことを忘れるのが得意だからよく覚えていない。
惑歌「まぁ、最近この学校の本で、その歌が相手を死に至らせる歌だとわかったんだけどね。」
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作者名:山岸ふあ | 作成日時:2020年4月14日 21時