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Limit 56. ページ6

一機一機は簡易なものとはいえ、制作のための材料を揃える費用から作り
制作、調整、組み立て──六つを作ろうと思うと、当初からしてみれば先は遠い。

凪斗が腕を組みながらそう問うのに、Aは迷いなく頷き返した。



『全部作り終える前に私の物を作ってしまったら、きっと私はその次を作る意欲が
失せてしまうと思う。だから、良い。“皆で飛ぶ”っていう約束……守りたいから』



自分に所有権が移ったサルバシオンを手にして、試運転のために
それに乗った時、彼女はそれというだけで満足してしまうような気がした。

満足してしまったら、次を作る意思が消えていってしまうような気もする。
ただ、彼らが守ろうとしている、彼らとの約束は自分も必ず守りたい。



『…………』



そう話すAに対し、それぞれはまた困ったように顔を見合わせていた。
彼らは彼女にもまた、大きな信頼を寄せていたのだ。

──このサルバシオンを目指したいと切り出したのは、彼女が始めだったから。
しかし、凪斗が真っ先にそんな彼女の思いを汲んで声を放つ。



『……わかった。今回は──颯太、お前の物という事にしよう』



几帳面な彼なら、しっかりとサルバシオンを
管理してくれるだろうという判断の上での決定であった。

そうして、三号機は計器類の管理に長けた凪斗が、四号機と五号機は
彼ら六人を中心に、他の者達と協力して同時に作り上げて俊也と白羽に託された。





〜・〜・〜





「……後もう少しで最後の一機を完成させられる。
けど、時間もあともう少ししか残されていない」



それまでの経緯を思い出しながら、俯いたままのAが言う。

白羽と俊也と、彼ら三人が話している内に
翔や凪斗や颯太も調整を終えて、いつしかこの話に加わっていた。



「──大丈夫だよ、A。時間が少なくなったとしても、
俺達は六人揃って、必ず一緒に──このサルバシオンで空を飛ぶんだ」



Aの肩に、そっと片手を置いて言った翔が笑いかける。
前に作られた計五機を、全て他の者達に譲ったA。

そんな彼女のために、彼ら五人も出来るだけ早く
サルバシオンを完成させようと、努力を重ねて来た。



「……そういえば、どうしてだったっけ。
僕らがこうしてここに揃う事になったのは──」



今となっては信頼関係が彼らを強く結び付けて居て、共に居る事に何ら違和感など
感じて居ないが──宙を見上げた白羽が、遠い記憶を辿るようにして呟いた。

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設定タグ:ファンタジー , Flysohigh!!   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(゚Д゚)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか? (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェイル | 作成日時:2015年8月30日 0時

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