Limit 46. ページ16
もしかして、彼が何かを“壊した”という現象は日常茶飯事だという事か。
未だにその場に残って戸惑っている何人かと同じように
Aもまた首をかしげていると、男性が答える。
『あのガキ、何かの買い出しとかでこの辺りによく来るようなんだが
いっつもあんな風に、漕いで乗って来た自転車を壊しちまってんだ』
『…………はあ……』
確かに、機械やら道具やらを渡されると必ず壊してしまうような破壊人は
たまに見かける事があるが、単に物を大切に扱っていないだけじゃなかろうか。
話を聞いたAは呆れたように適当な相槌を打っていた──
……しかし、じっと少年を見つめていたところで何を思ったか。
『……御免なさい、叔父さん』
男性に向き直ると、軽く頭を下げて、手元の資料を鞄に戻しながら続けて言った。
『色んな部品を見せて貰えて、とても楽しかったです』
鞄を背負って言うや否や、相手の返事も待たずに少年の下へと駆けて行く。
驚いた男性は慌てて引き止めようとしたが、
その時には既にAが少年へと声をかけてしまっていた。
『……──その自転車、壊したの?』
『えっ?』
明らかに困り果てた様子であった少年の素っ頓狂な声が返る。
Aはそれに対し、先ほどと一字一句同じ問いを繰り返し投げかけたので
きょとんとしていた少年は慌てて我に返り、彼女の問いに答えた。
『あっ、ああ……もう前に何度も壊してて、
その度に直しては居たんだけど……流石に今回はもう無理かなあ……』
『……じゃあ、どうせ無理かもしれないなら、ちょっと私に貸してみてよ』
『え、あ、うん……別に良いけど……』
道のど真ん中で立ち往生していたので、戸惑いながら頷き返した少年は
目の前の自転車を持ち上げ、道端へと移動してAに差し出した。
すると、その場にしゃがみ込んだAが今度は鞄から工具箱を取り出し
差し出された自転車に手をかけた──少年はそれを、目を輝かせながら見つめる。
『うわ……すっげえ工具揃ってるな! もしかして機械とかが好きなのか?』
『……自転車なんて、機械とも言えないよ』
──人力で無ければ動かない物など、Aの目には
単に部品が継ぎ接ぎになって繋がっているだけのようにしか見えない。
もちろん、実際は全ての物が絶妙な形を以てしっかりと組み合わさっているものだ。
だから、Aの手にも容易に修理が出来る。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(゚Д゚)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか? (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェイル | 作成日時:2015年8月30日 0時