第44話 ページ45
。
思いっきりキールの足を踏みつける
当然そんな事をされると思っていなかった彼は突然の痛みに呻き声をあげる
(よし!怯んだ……!)
その隙に逃げようと思ったけどやっぱりコイツもコイツで一応ボスではあるから
逃がしてたまるものかと逃げかけた私の髪をぐっと掴む
「!?ッ」
痛ったいんですけど!!?
ってか髪掴むとか何!?マジでふざけてる
「このクソアマ!!!」
銃口は再び私の頭に狙いが定まられる。しかし今度は脅しではなく撃つつもりで向けられる
ホンット最悪なんだけど
本当に最後かも
そう思った。けれど
「…か………ッ!?」
「………………?」
聞こえてきたのは銃の発砲音ではなくキールの呻き声
(なに……?)
掴まれていた髪が離されていく感覚を背中に感じてそっと振り返る
そこで目にしたのは
「……は……え………?」
倒れているキールだった
どういうこと……!?
いつの間にかキールは白目を剥いて倒れていた
口から泡吹いてるし……
よく分からなくて状況の理解が追いつかなかった
とりあえず私死なずに済んだ……のかな…
静かに胸を撫で下ろしその場にしゃがみこむ
「音彩」
「!!………シャンクス……」
名前を呼ばれて見上げればシャンクスが私を見下ろしていた
何とも穏やかな瞳で
(さっきの時と全然違う)
私が捕まっていた時の彼の瞳はとても冷たく険しく見えた
「……ごめんなさい…ドジ踏んじゃった…」
「お前のせいじゃない。それより怪我は無いか?」
「ああ……うん。多分…?」
さっき蹴られはしたけれど今はそんなに痛くないような?
「嘘をついたら後が恐いぞ?」
「え」
シャンクスの顔を2度見した。いやだって笑ってるようで笑ってない目
(あわわわわわわ…)
やばいよこれはマジで怒ってるパターンじゃないんですの!?
「あーえっと。どうだったかな〜……なんて…あはは………」
「腕と足に数箇所擦り傷。顔は無傷だが他はどうだかな」
と冷静に私の身体を分析するホンゴウさん
待ってそんな見ただけで判断されるの地味に怖いんだけど?
「そ、そんなに大怪我はしてないっていうか……乱暴に扱われたりはしたけどさ……」
だけどこの時私は思い出す
自分がフラグ建築士だというのを
「だから……大丈夫………あれ……?」
ぐにゃりと視界が曲がり、頭の中が揺れるような感覚
(やば……目眩が…………)
風邪の時と同じように。私はそのままシャンクスに頭を預けて意識を手放した
正にフラグ建築のプロである
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