第41話 ページ42
。
「“いつも”はそうだが今回は味見も売り飛ばしもし無い」
「…………………」
分かりたくないけれど察してしまうのが悲しいな
コイツらの話しぶりを見ると女性を売り飛ばしてる…恐らく人身売買の類だと思われる
そして気に入った女性は“味見”すると
話の内容が胸糞すぎるんだけど…?
キールを見れば、初めて会った時とは違い、気持ち悪い目で私を足から頭まで舐めまわすように見てくる
「…私をどうしたい訳?あんた」
「聞かなくても分かってるだろう、音彩」
「まさか…あんな事をする気ね!?ソリッドブックみたいに!!ソリッドブックみたいに!!」
うん。ちょっと言ってみたいなとか思ってたんだけどまさかこんな局面がきて言えるとは思わなかったです
というかリアルで言うタイミング無いよね絶対。いや友達とふざけてたら言う可能性も無きしにもあらずかもだけど
「ブックはよく分からねえが本にはならねえな?」
そりゃソリッドブックなんて単語は無縁だから分かる訳ないよね
「音彩。お前を俺の恋人にする。ああ分かってる…望んでたんだよな、お前」
「……………………」
ん????
「あの時、目が合った瞬間に気づいた。お前が俺に恋をしたと」
「……………………」
は????
「だからお前だけは特別だ…他のどの女よりも可愛くて愛おしいお前…」
いやいやいやいや
ちょっと待って???
何を言ってるのコイツ??
というか
「あの。私がいつアンタのこと好きって言った??」
「言わなくても分かるさ。その瞳は恋をしてるって」
「キモッッち悪いなお前…というかお前みたいなカスなナルシスト野郎好きになるわけないでしょ!??思い上がりも甚だしいわ!!」
確かに初めて会った時は結城君に似てたしビックリしたわよ
だけどそれは声とか顔とかが似てただけで性格はまるっきり似てないしあの人はここまで性格終わってないっての!!
「…酷いことを言うんだな、お前」
「酷いのはどっちよ。女を縛って連れ去らないと無理な時点であんたの方が最低でしょ」
図星なんだろうね。眉をぴくりと動かしながらキールから苛立ちを感じた
「悲しいな…そんな事を言われたのはお前が初めてだよ」
徐に語りながらゆっくりと私に近づいてくるキール
「…………………」
「残念だよ。音彩。お前なら賢い判断が出来ると思ったのに」
「…賢い女ならあんたみたいなドブ男選ばない」
言い終わるか言い終わらないかぐらいのタイミング
「ッ＿＿＿!??」
腹部に激痛が走った
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