第39話 ページ40
。
「終わった…」
PM21時
やっと仕事が終わった
完全にはまだ終わってないけれど。でも自分のシフトはここまでだ
「お疲れ様音彩。後はゴミ出しだけお願いしてもいい?」
「はい!任せて!」
うーーーっと伸びをしながら纏めたゴミを裏口から出しに行く
(これで全部かな)
確認をしようとした時だった
(……え…………………)
何だか動けない。否動けない
何故なら嫌な視線を感じた
ねっとりとした凄く気味の悪い不気味な視線
(待って振り向けない)
怖くなりその場で動けなくなる
誰?私を見てるのは誰?
誰かが私を見てる。ずっと
怖い…………けど
このままで居る訳にもいかない
私は意を決して体を動かして、違和感がないように自然を装って振り返った
そこに居たのは意外な人物だった
「キール……………?」
「音彩。ごめん、驚かせた?」
「あ、いや。大丈夫なんだけど…」
まさか視線の正体はキール?
いやでもそんな事するとは思えないし…
(私の勘違いかも)
まさかキールがね…
そんな事を思いながらキールを見ると。悪寒が何故か走った
「キール……………?」
「うん?」
キールを見た途端、違和感が拭いきれなかったから
バイトする前からも。何故か分からないけれど言い表せぬ何かを感じた
不気味な視線。私がバイトをしている時やお昼でレストランに居た時も感じてはいた
けれどそこまで気にする必要はないだろうなと思って特に何もしてなかった
「どうかしたのか?音彩」
「…………ううん」
直感で思ったのが『長居は無用』『関わるな』『離れろ』だ
「とりあえずお仕事に戻るね、キール。もし用があるなら後で、ね」
そそくさとキールの横を通り過ぎようとした
「……ああ。大丈夫。すぐ終わるから」
「え」
首に何か強い衝撃
「な……に………………?」
やばい。またやばい
次から次へと一難去ってまた一難
風邪引いたと思えば今度は一体何??
ふっと意識が遠のく
どうしよう。また彼等に迷惑を掛けてしまう
それだけは嫌なのに。嫌なのに。嫌だよ
それに私まだ謝れてないの。彼に
「…シャン…クス………」
最後に読んだ彼の名は、沈む意識の中へと消えていった
そんな彼女の姿を、男は冷血な目で見下ろしていた
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