第38話 ページ39
。
キールとレストランを出て私は再び職場へ戻った
酒場に戻るといつも通りの活気の良さが目立ち、じめりとした私の感情を乾かしてくれるようだった
ニコラさんにももう一度謝り、再び切り替えて気合いを入れた
「いらっしゃいませーー!!」
次々とやってくるお客さんのオーダーを聞き、お酒や料理を運んで提供した
中には常連客の人に話しかけてもらったり等
昨日よりとても進歩した
(気にしてたってしょうがい。ちゃんと謝ろう)
傷つけた嫌な思いはさせたとか色々な事を考えるのは後回し
自分が言ってしまった事は取り消せないのだから先ずはしっかりと謝罪する事が大事
ニコラさんとキールに聞いてもらったおかげか、少しスッキリした
「おう!こっちにもビール頼むわ!」
「はいただいまー!」
そんなこんなで時間は過ぎてゆき。PM19時
休憩に入るために少し外の空気を吸いに出た
すると
「よう。音彩」
「調子はどうだ」
「!…ヤソップさん、ホンゴウさん!」
ヤソップさんとホンゴウさんが来てくれた
「お2人も飲みに?」
「いや?お前さんの様子を見に来たんだ」
「私の?」
「ほら。昨日から元気なかったろお前」
「だから何かあったんだろうと思ってな」
「!……」
そっか…2人とも…
そういえば今日の朝みんなの顔も見ずに出勤したんだった
そりゃ心配掛けちゃうよね…風邪引いてあんなに皆に心配かけたのに。ちゃんと学習しなさいよ…私
「ごめんね…今朝は」
「良いんだよ、お前さんが元気なら」
「特に体調も悪そうには見えないしな。何も無いことが1番だ」
「2人とも………ありがとう」
ああ…
じわりと滲む視界。零れそうになるのを堪えながら私は2人にお礼を言う
バカだな私…シャンクスの仲間はみんな暖かい人ばかりだ
(船長の人柄の良さ、今更知ったの私)
そうだよ。シャンクスの人柄で惹き付けられ集まったのがきっとこの人達なんだ
ならばこの人達だって同じだ
(敵わないなぁ…)
とことん自分は小娘なんだなと自覚した
「…私頑張ってくる!」
「おう!」
「頑張れよ」
そう言うとヤソップさんとホンゴウさんは船に戻って行った
私の事を気にかけてくれていたんだ
(いつまでもキノコ生やしてる場合じゃないぞ私)
今日の仕事の時間が終わったらちゃんとシャンクスに謝りに行く
キールやニコラさんにだって励まされたんだ
これで“やっぱり無理”なんて話が通らない
(よし、もうひと頑張り!)
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