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第27話 ページ28



「_____」

あれからずっと考えている。ベンさんが話してくれた”ウタ“さんの事を


『ウタは、俺達の“娘”だったんだ』


半年前に起きた出来事。エレジアという島での事
ウタさんとの出会い、そして別れも

聞いていて胸が痛くなった。苦しくなった

会ったことはないけれど。でも他人事には思えなかった

シャンクスやベンさん達の眼差しが時折悲しくなる理由はそういう事だったんだ
だとしたらと考える

私が現れたのは“酷”ではないのだろうか、と

娘を亡くした親の気持ちを、子である私は理解なんてきっと出来ない
でももし逆だとしたら。自分の親が亡くなったら。きっと辛くて辛くて悲しみに暮れ続ける

(そんな事があったのにシャンクス…)

私に優しくしてくれた。あの日、たまたま会っただけの私を助けてくれた

本当はどんな思いだったんだろうか

烏滸がましいけれど。私とウタさんを重ねたり…なんて事をしたりはしなかったんだろうか

シャンクスだけじゃない。他の皆もだ

(みんな強いなぁ…)

みんながどう思ってるかなんて私は想像出来ないけれど

でも『船を降りろ』なんて言う人は一人もいなかった

私を乗せることにみんな反対はしなかった

それはみんなの心の広さでもあるんだと思う

悲しみに暮れ続ける訳にはいかない、と

悲しむのは自由だけれど。でも前を向かないと

前に進まなければ。きっとウタさんもそう言うと思う



(だからなのかな)


酒場でのシャンクスの“やってみろ”という言葉は
親心からきたものだったのか。或いは…いや

(過ぎたこと…分からないままでいい)

そこにどんな感情があろうと、私が口を挟む理由なんてない

それはきっといつかシャンクスから話してくれるだろうと思う。待てばいい
いつになるかは分からないけれど


(シャンクス…ありがとう)

彼の人はいないけれど。それでも困っていた私に手を差し伸べてくれた事に感謝した

あの時、本当に嬉しかったから


右も左も分からない私を笑って助けてくれた


(恩返しがしたいな…)

自分に何か出来ないかな、と思った
私に出来ること…

何があるだろうか?


体調がまだ万全ではないため、うつらうつらと瞼が重くなる

微睡みの中、誰かが部屋に入ってきたような気がした



「…シャンクス………?」


誰かは分からないけれど。でも目を開ける余裕はなかった

私はそのまま睡魔に身を委ね、眠りについた

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作者名:さなら | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2022年8月28日 14時

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