第26話 ページ27
。
夢だと思うけど、シャンクスに頭を撫でられているような感じがした
『大丈夫だ』
優しい声でそう言ってくれている
きっと私の夢だよね
だってこんなに何回も都合のいい乙ゲー案件がある訳ないんだから、さ…
翌日
目を覚ました私は思いっきり伸びをした
「う〜〜〜ん……治ったー!!」
熱も下がり頭痛も少し治った…多分
皆にはお騒がせさせちゃったけれど。これで何とか安心してもらえるかな!
けれどそう簡単にはいかないのが現実。ホンゴウさんから一言
「微熱がある。昨日で今日だ。すぐ治るわけが無い。寝てろ」
「……………はい……」
漫画で言う正に『チーン』状態だった
うう…何でだ……向こうの世界でならそんなに風邪なんて引かなかったのに私…!!
何故なんだ…!!
暫く安静に、と船医であるホンゴウさんに言われたとなっては従う他はないので大人しくベッドでゴロゴロする
「暇だなぁ」
あーーあーー!!私も島に降りてもっと観光とか色々したい!!
まぁ風邪引いた私がいけないんだけどさ?
不貞腐るように布団の中でいじけていた時だった
部屋がコンコンとノックされる
「はーい?」
「俺だ。入るぞ」
「どうぞー」
扉を開けて入ってきたのは買い物帰りなのだろう。荷物を抱えたベンさんだった
「ベンさ〜〜〜ん」
「ほら泣きつくな。これでも飲んでろ」
「んえ?」
渡されたのは“蜂蜜酒”とかかれた瓶。え、酒???
「ベンさん???私酒は飲めないって言ったよ????」
「安心しろ。それは子供でも飲めるやつだ。喉に効く。飲め」
「……あ、ホントだ」
よく見ると子供でも飲めると書かれていて、喉の痛みなどにも効くとあった
そっか…私喉の痛みもあるからベンさん心配して……
「ベンさ〜〜〜〜〜〜ん!!!」
2度目の泣きつき
「分かったから泣きつくな。ほら、寝てろ」
ポンポンと頭を優しく撫でてくれるベンさん。正に
「パパ〜〜〜〜!!」
いや本当にパパ。パパみしか感じない
だけど私のその一言に一瞬だけベンさんの動きが止まったような気がした
(あれ?)
「とりあえず寝てろ。用があれば呼べ」
「うん…」
布団に戻る。けれど同時に今しかないと思った
椅子から離れるベンさんの服の端を引っ張った
(これ少女漫画で可愛い主人公がやるやつだよね)
なんて考えながらも彼を呼び止めた
「ベンさん………“うた”って、何…?」
ベンさんは動きを止めてこちらを見る。そして
「…………そうだな」
と再び椅子に腰を下ろし、口を開くのだった
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