第15話 ページ16
。
あれからすぐ後
私は船の甲板の上で両手で顔を多いながら丸まっていた
「叶うならば酒場にいた全員の記憶から私が歌った記憶だけを切り取り海に葬りたい。そして私も歌を歌ったという記憶を切り取りたい」
「そう悲観するな。上手かったじゃないか」
「無理。本当に無理」
あれから歌を歌い、場は盛り上がりを見せた
だけど私のメンタルはキャパオーバーし、マイクを瞬時に女性に返して酒場から出た
そして今に至る
「じゃあシャンクスが歌いなよ。そしたらわかるよあの視線の辛さを」
「俺は歌は好きだからなぁ……」
根っからの陽キャは言うことが違う……
けどふと我に返る。待って?今日の私、陽キャとしては100点満では??
その場の歌のリクエストに応えて且つ場を盛り上げた訳だし??
あれ??私陽キャとしては100点……いや200満点じゃない??
等と考えながら根っからの陰キャモードが下がらないのであった
大勢の、しかも知らない人の前で歌うとか公開処刑以外の何物でもない
そりゃカラオケはするよ?でもそれは仲の良い友達とだよ?
突然知らない人と一緒にその場の勢いとノリで「Yeah!!Let’sParty!!」とはならないよ?
(この時点で陰キャなのが詰む)
顔を両手で覆い隠しながらふといつかの出来事を思い出す
“『一緒に行こーよ!!』“
(そういえば……)
私が憧れた子もそんなこと言ってたっけ
『歌上手いじゃん!自信持ちなよ!』
その子は私が“陽キャ”になりたいと思うようになったきっかけの子だった
裏表がない、本音で何でも言う子
クラスの中心的な子で自分の好きなことを好きにやる、するを具現化したような子
校則違反バッチバチに凄かったけれど
そういえば私が髪を赤くしたのもその子がきっかけだったな……
ふと顔をあげればシャンクスが私の事を不思議そうに見ている
「…………一緒だ」
「何がだ?」
「髪の色」
あの子の色とシャンクスの髪の色、同じ赤だ
偶然なんだろうけれど
「そうだな……お前と一緒だ」
そう笑うシャンクス
ああ確かに……私今シャンクスと同じ赤だ
お揃いというやつだね、と笑うとシャンクスも笑った
ん?
あれ待って。今のまるで私がシャンクスと髪の色が一緒で嬉しいみたいにならない??
いや嫌じゃないんだけど。そういう意味じゃないんだよ!?誤解しないで!?
「あ、いや、今のは偶然だなと思っただけだからね!!」
「?……そうだな」
訂正しようとした結果、変なツンデレみたくなった
やだもう
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