第48話 ページ49
。
あれ?あれあれあれ???
咄嗟に自分の胸を抑える
心臓はいつもの様に動いてる…けれど早かった
(待って待って)
あれぇ…………??
まさかの?そういうこと?
気づけば全身の熱が集まったかのように顔は熱くなっていた
「嘘じゃん………?」
両手で顔を覆った
本当に?こんなことある?
今の今まで感じたことの無い、じんわりと鈍い痛みのような広がる何か
風邪のせいにしたい。体調の悪さのせいにしたい
けれど“そいつ”はどうしようもなく、私の本音を嫌でも突きつけてくる
「…むり」
気づけば口に出ていた。なんだこれなんだこれ
知らないよこんなの……!!!
砂浜から立ち上がった私は訳もなく走った
シャンクスに追いつき、その横を通り過ぎた
振り返らずにそのまま私は走り、真っ直ぐ船へと戻った
本来ならホンゴウさんが待つ酒場に行かないといけないんだろうけど
そんな事もその時の私は考えられなかった
ひたすらこの気持ちをどうにかしたかったから
突然の走り去って行った音彩を見てシャンクスは足を止めていた
突然走り出し、去っていった
しかも全速力で走っていったな
もしやまた要らぬ事したか?さっきの事か?
音彩の行動は理解出来ないが、走り去ったということはそれなりに体力もいつもの調子には戻れたんだろう
(良かったな)
だがもしこの場にベックがいたら。きっと彼女が走り去った理由が分かるんだろう
だから“鈍い”と言われちまうのかもな
そんな事を考えながら酒場に戻る
酒場にはホンゴウが腕組みをしながら待っていた
音彩は?と聞かれ船に戻ったことを伝えると「そうか」と一言ため息をついていた
酒場の店主とその娘にお礼を言い、俺達も船へと戻った
船には留守を頼んだベック達以外にも買い出しを終えたルゥ達が帰ってきていた
「この島とも別れか」
甲板に立ち、出港の合図をする
空は橙に染まり、雲は夕日に照らされて紫の影が染まり始めていた
「…………」
自室に戻り、ベッドの上で体育座りをしていた
自分の気持ちに気づいてしまったかもしれない
そう考えたら色々と思考回路がパンクしそうになった
(よく考えて私…年齢差を……)
両手だけじゃ足りないぞ?
思わず両手を10にしたけれどそこから考えてしまうのが怖くなり思わず引っ込めた
(分かんないけど……)
これが恋なのか。はたまた別の何かなのか
この気持ちを理解する為にはもう暫くこの船で過ごす必要があるのかもしれない
そう思った
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