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撫でられ続けて何だか自分が猫になったような気になる。

虎杖くんのことで落ち込んでたからそれを慰めてくれてるのか、それとも東堂からのアプローチを見てそれに対抗してかは分からないけど。



「どうかしたんですか?」
「……。」
「い、ぬまき……先輩……?」



抱き締められたせいで元々距離が近かったのに更に距離が近づく。

キスされる、そう思って目を瞑るが唇への感触は全然なくて瞑っていた目を開ける。と、そこには狗巻先輩の真っ赤な顔があった。

よく考えてみればみんながキスしてくるせいで感覚が麻痺してただけだ。

キスなんてもとは本当に好きな人とするもので軽々することじゃない。だから狗巻先輩だって躊躇ってるんだって気付く。

キスしたい気持ちとしちゃいけない気持ちがごちゃ混ぜになっているのか、狗巻先輩は顔を赤くしたまま目を逸らした。

そのままポケットに入れていた携帯を取り出した狗巻先輩はカコカコと何かを打ってその文章を私に見せる。そこには「ヤキモチ」と、それだけ書かれていた。



「ヤキモチ……妬いたってことですか……?」
「……しゃけ。」



依然として顔が赤いままの狗巻先輩と、その狗巻先輩につられて顔が赤くなった私の間に沈黙が走る。

急に距離を縮められたり熱烈なアプローチをされるよりもむず痒い何とも言えない恥ずかしさが募っていく。

そんな狗巻先輩が無性に可愛くて心臓の鼓動が早まっていく私を抱き寄せた狗巻先輩の暖かくて柔らかい唇が頬に触れた。

今はこれで精一杯、とでも言いたげな熱っぽい視線が突き刺さる。

その視線を逸らした狗巻先輩は私の手を軽く握って硝子さんの元へと歩き始めた。



「……こんぶ!」
「あ、そうですね、急ぎましょうか。」



握られた手から狗巻先輩の暖かさがじわじわと伝わってくる。

少女漫画みたいな展開に鼓動の早まりは止まることを知らない。

私にアプローチしてきた東堂にヤキモチを妬いたのか、目の前で私を抱き締めた伏黒くんにヤキモチを妬いたのかは分からないけど狗巻先輩の中の独占欲が見えた気がする。

可愛くてもふわふわしててもやっぱり男の子なんだなぁ。

そう思って狗巻先輩の手を気づかれない程度に少しだけ握り返した。

20:恋心はクソ→←19:独占的な愛



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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_  
作成日時:2021年2月2日 19時

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