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洗濯されて綺麗になっている制服を身につけて部屋の前で待っていた五条先生に「お待たせしました。」と声をかけた。
私達3人が一緒に登校していたら虎杖くんの生存がバレるし、私が地下室から出てきても疑われるからっていう理由で五条先生の術式で1人ずつ高専まで飛ばしてもらうようにした。
私が着替えている間に虎杖くんを高専まで送ってきたからか、家の中は静まり返っている。
「久々に歩いて通勤しちゃおうかな。一緒に行こうよ。」
「時間にも余裕ありそうですしね。」
五条先生からのお誘いを承諾してスニーカーの紐を結んでいく。
寮に帰ったらすぐにジャージに着替えれば誰からも指摘されないだろうな、と思いながら五条先生の家を出る。
ガチャガチャと鍵をかける五条先生を後ろで見つめながら新婚さんみたいだなぁってちょっと想像しちゃって笑みが零れた。
「悠仁に会いたくなったらいつでも言ってよ、またお泊り会しよ。」
「皆にバレない程度にしときますね。」
「あ、もちろん普通に泊まりに来ても良いよ。合鍵渡しとこうか?」
そう言いながら有名ブランドのロゴが入ったキーケースを取り出した五条先生に「合鍵はいりません。」と言うと五条先生はムゥと頬を膨らませた。
冗談なのか本気なのか分からない時があるから怖いんだよな。
昨日の夜だって結局悟くん呼びやめても怒らなかったし……
「そういえば傑くんの件ってどうするんですか?」
「う〜ん、当分保留ってとこかな。向こうも色々と準備してから来るだろうし僕らはそれまでに対策しておくのがベストだよ。」
「対策……」
「とりあえずAはフェロモンの制御練習しとかないとね。」
痛い所を突かれて「うっ、」と声が漏れる。
制御しようにもできずに何週間も経ったしこのままだと交流会で被害者を増やす未来しか描けない。
そんな相談をしている高専の校門前に着いていて寮方向と教職員室方向で別れている道の真ん中で「あ、悟くん!会わせてくれてありがと!」と、昨日の余韻が残ったまま下の名前で呼んでしまった。
自分でもびっくりしているのに五条先生は更にびっくりした顔をしていて。
何秒か後に大きな溜息を吐きながら私に近付いてきて、そのまま触れるだけのキスをした。
「ちゃんと下の名前で呼べたご褒美。」
甘えた声でそう言いながら私に手を振ってその場を後にする五条先生から目が離せない。
フェロモンのせいなのに心臓がうるさく鳴ってしまう。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時