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呪詛師の言葉に耳を傾けちゃいけない。
そう思って傑くんの手をはらって距離を取る。
私だって虎杖くんを生き返らせたい。一緒にいた時間は少ないけどあんなに良い人を失った後悔は大きい。
「Aが仲間になれば虎杖悠仁は生き返らせてあげる。Aは友人を取り戻せるし私はAと虎杖悠仁を手に入れることができる。」
「お互いにメリットがあるって言いたいの?」
「その通り。」
確かに虎杖くんを生き返らせるのは私にとって後悔を取り除くことに繋がる。
でも呪術師としての人生を捨てて呪詛師になって、それで生き返ったところで虎杖くんは喜んでくれるんだろうか。何してんだよ、って怒るんじゃないか。
「デメリットが大きすぎるよ。」
いつの間にか私との距離を近づけていた傑くんはそのまま私の首筋に顔を近づける。そしてそのまま首元に嚙みついた。
首筋に歯を立てられて全身に痛みと鳥肌が立つ。
じわじわとフェロモンが傑くんの身体に流れ込んでいくのを感じて傑くんの身体を突き飛ばして離れる。
傑くんはそんな私の反応を楽しげに見ながら口元に付いた私の血液を舌で舐めとった。
「血からも肌からも効果があるなんて慶光院家の力は凄いね。こんなにもAが欲しくなるなんて予想外だよ。」
「や、やっぱりそっち側にはつかない……」
「あぁ、怖がらせてしまったかな?」
怖い、というより不気味っていう表現が合ってると思う。
10年前とは違って何かどす黒いものが傑くんの内側にあるような気がして、もし私が呪詛師になっても虎杖くんは生き返らないんじゃないかって思う。
フェロモンに充てられてる以上私の命を危険に晒すことはないだろうけど……
「今ここでAを襲えば悟への嫌がらせになりそうだね。」
「な、に考えて……」
「昨日今日と優しく接したから警戒してなかっただろう?私も一応男なんだよ。」
傑くんから逃げようと後ずさりをする。と、背中にひんやりとしたコンクリートの壁があることに気付いた。
いつの間にか壁際に追い詰められてた上に逃げ道は傑くんの隣を通り過ぎないといけない。逃げ場がなくて戸惑ってしまう。
どうしても逃げないといけない、そう思ってポケットに入れておいた式札に呪力を流し込んで鳥の形をした式神に乗って空へと逃げる。
後ろを振り返っても追ってはなく安心する。と同時にあんな口述に嵌りそうになった自分に溜息が零れた。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時