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貪るように宿儺は私の唇に自分の唇を重ねる。

何度も何度も角度を変えて降ってくるキスに目を固く瞑る。

首元を掴まれて命の危険を感じているのか息は荒くて、唇が離れるたびに甘い吐息が零れる。



「何だ小娘、接吻は初めてか?」
「初めてだと悪い?」
「喜ばす術を知らぬのもまた一興、」



私の首筋を掴んでいた手を後頭部に回した宿儺は「俺が直々に教え込んでやろう。」と言って再びキスをした。が、先程とは違って長い。

段々息ができなくなってどうすればいいか分からずに酸素を吸うために少しだけ口を開けるとそれを待っていたと言わんばかりに宿儺の舌が滑り込んだ。

それにびっくりして宿儺から唇を離そうとしても頭を掴まれているせいで逃げることも叶わない。

舌が絡まり合って「んぅ、」なんて甘い声が漏れ出す。

口から直接フェロモンを流し込むのはそこまで安全なことじゃない。宿儺が呪いの王だとしてもそれに変わりはないし今は対人間用のフェロモンが溢れ出しているせいで尚更危険だ。

でもお互いの舌が触れるたびに、舌先を遊ばれるたびに自分の舌の感覚が麻痺していってもう自分の舌なのか宿儺の舌なのかも分からなくなる。

唇が離れた時には頭がくらくらしてそのまま宿儺の胸元に倒れ込むように頭を乗せる。

じわっと自然と滲んだ涙を舐めとった宿儺は喉の奥から小さく笑い声を漏らした。



「初めてにしてはなかなか上手だぞ、小娘。」
「う……るさい……」
「まだ抵抗心が残っているか。」



そう言いながら爪で自分の唇を軽く切った宿儺はその血を指に付けて私の口に押し付ける。

苦い鉄の味が口全体に広がった。



「血の契約だ、お前の仲間を全員殺した後でゆっくり可愛がってやろう。」



互いの血が交わったことで何かの契約が満たされたらしく、心臓がドクンと大きく跳ねた。

何の契約をされたのか聞きたくて「内容は……」と言いかけた私を見た宿儺は軽く笑いながら私の瞼の上に自分の手を乗せた。

瞬間、とてつもない眠気が襲ってきてそのまま目を瞑る。

寝ちゃいけない、寝ちゃいけないって思っても宿儺の呪力のせいだろうか私はそのまま意識を手放した。

10: 最悪の目覚→←09:血染の口付



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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_  
作成日時:2021年2月2日 19時

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