君のいない街

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転校生、有岡くんが来てから1週間が経った。


相変わらずどんよりした空気を纏っていて、友達もできていないようだった。


時折顔を上げて周りの様子をちらちらと伺っている。


ずっと1人で、もう友達は諦めようとしていた俺だったけど、なんだかチャンスな気がする。


有岡くんとは友達になってみたい、そんな気持ちが込み上げていた。


・

案外早くその機会は訪れたのだった。


放課後の教室。


授業中に寝てしまって、気づいたらこの時間になっていた。


教室に人は残っていなくて、外から運動部の掛け声が聞こえる。


ノート取れてないけどしょうがない、帰ろ。


バッグに適当に荷物を放り込み立ち上がって、教室のドアを閉めようとして気づく。


窓側の1番後ろで机に伏せている彼がいた。


友達になるチャンスは今しかないと思った。


真っ直ぐ有岡くんの席に行き、そっと肩を叩く。


小さく声がもれて、顔を上げた。


まだ眠たそうに目を擦るあたり、君も寝てたんだ。


大貴「…ん…？なに…？」


寝ぼけているのか俺に怯えてしまっているのかはよくわからない。


ただ、吸い込まれそうなほどに綺麗な瞳で俺を捉えている。


慧「あの…有岡くん…。」


ここにきてなに自信なくしてんの、俺…


大貴「…？うん…」


慧「よかったら、俺と友達になってくれませんか…？」

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