Freiheit IV (ページ28)

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｢嗚呼！主神フリティラリア！こんな軍属なんていう姿にされて誠に哀れ、辛かった事でしょうに…｣
これは、どうすればいいんだ。
会食帰り、車がいきなり止まったかと思えば唐突に催眠ガスを吹き付けられた。
次に目を開けたら黒い花と共に棺にぶち込まれていたのである。
アイアン・メイデンの様に立てて置かれたそれに、一瞬で棺だとわかった自分を褒めてやりたかった。

ほとんど理解出来ない言葉の中で、何とか意味を繋ぎ合わせて出た答えが3つ。
･この集団の信仰する神は男である。
･その神とやらはこの現世に遣いを放っている
･神の遣いは不老不死で世界を渡り歩いている
いつ自分の｢呪い｣の情報が漏れたのか、それは定かではないが。
とにかく1つ確実に言える事がある。
やべぇ奴らに捕まった。

そういえばB隊の隊長は無事なのだろうか。
これは間違いなく自分を狙った犯行だ。あの時一緒にいたB隊隊長は間違いなく巻き込まれている。
…さて、どう抜け出そうか。
無線がないからきっと自分が何かしら事件に巻き込まれた、というのは他のメンバーもわかっているだろうが。

｢主神フリティラリア、これから我々の事を御守り続けて下さい｣
ギィ、という音がする。
まさか、と感じた嫌な予感は的中した。
棺が閉められ、視界は闇に包まれた。

暗闇と静寂に包まれたその場所で、軍学校時代に聞いた言葉を思い出した。
｢人を72時間、何もない部屋で過ごすと精神を崩壊させる事が出来る｣
…あぁ。あいつら、何とか場所を特定してくれるかな。
いや、来てくれるだろう。あいつらなら。
こんな絶望的状況下にあって、メンバーの事を願ってしまうのはどうかしているのだろうか？

深澤｢…はは、｣
…いや、こんな時でさえ笑みが零れてしまった自分は、もう既にどうかしているのかもしれない。